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「心を動かす一冊」の「ポップ」巡回展示 西東京図書館の書評講座作品

By in 市政・議会, 学ぶ on 2017年7月30日

 

カウンター横に展示されたポップ作品(ひばりが丘図書館)

 西東京市図書館が開いた書評講座「POPをつくろう~あなたの心を動かす一冊」から生まれた作品がいま、市内図書館を巡回している。タイトルは「POPと本-気になる一冊がきっと見つかる」。7月はひばりが丘図書館に17作品を展示、8月から柳沢図書館へ。その後順次各館にお目見えする。

 ひばりが丘図書館ではカウンター横の書棚に、講座参加者のポップが本と一緒に展示された。絵本や童話、ファンタジーなどから、小説やエッセー、社会科学書まで幅広い書物が取り上げられている。

 「おもしろい試みですね」。図書館スタッフに、こんな声を掛ける利用者がいる。ひばりが丘図書館職員の望月絵里花さんは7月半ば、こう教えてくれた上で「ポップを見て、一緒に展示した本を手に取る利用者の方も少なくありません。いま13冊が貸し出し中です」と話した。評判も上々、手応えも感じられるのだ。

 

講師の佐藤壮広さんがポップ作品を紹介

 

 ポップ作品が生まれた書評講座は6月、3回にわたって開かれた。最初の2回は書評やポップの講義とお薦め本の400字書評の執筆。最後の回が、はがき大のポップを実際に作り上げる作業だった。

 講師の佐藤広壮たけひろさんはシャーマニズムなどを研究する宗教人類学者。大学の講師を務めるかたわら、新聞や雑誌に書評を執筆してきた。3回目の最後に、出来た作品をプロジェクターで紹介しながら、参加者と共に作品のおもしろさと「心に残る」作者の気持ちを引き出した。

 「これはすごい!」と佐藤さんが声を上げたのは、アウシュビッツ収容所で亡くなったコルベ神父の書物を紹介したポップだった。壁代わりのコルクを下地に使い、鉄条網はヒモを代用して貼り付けた。手が込んだ作品だけに「夜なべしました」という作者の発言に、驚きの声と拍手が起きた。

 

「優しさと強さと―アウシュビッツのコルベ神父」(上)と「presents」のポップ

 

 角田光代・作、松尾たいこ・絵「presents」のポップも手が込んでいる。贈り物用のリボンを掛けた上に封書付き。タイトルとポップが一体化している。一生の間に受け取る「贈り物」をテーマにした短編小説の内容にぴったりだった。

 桐野夏生著「だから荒野」を紹介したポップも「とてもステキです!」とお褒めの言葉をもらった。中年の主婦が突然家出。家族を捨てて高速道路をひた走る。その後の出会いと迷いの先にあるのは…。そんな内容を分かれ道のイラストで表現している。「ひどい旦那さん。お持ちの方はぜひ。ウチはまだまし…?!」。このキャッチフレーズに、室内から「オーッ」と賛嘆の声(?!)が上がった。佐伯啓思著「反・民主主義論」のポップは固い内容に見合ってオーソドックス。図解はないが、見出し風に言葉を並べて内容をまとめている。

「だから荒野」(上)、「反・民主主義論」と「それっ! 日本語で言えばいいのに!!」(下)

 

 参加者は30代、40代の女性が多い。数少ない男性の一人、田中貞義さんは81歳。日本語に飛び込んできたカタカナを取り上げた本を、赤字を際立たせてユーモラスに紹介した。「知り合いに教えてもらって参加しました。こういう催しはこれまでの図書館事業ではなかった。参加型はいいですね」と話していた。

 講座を担当した中央図書館の鈴木依利子さんは「書店のポップは販売促進が目的です。図書館の企画は、読者の思い、作成者の気持ちが伝わるような内容を考えました」と話している。

 講師の佐藤さんは「取り上げた本の何に心動かされたのか。そこを分かりやすい言葉でシンプルに伝えるのが講座の狙いでした。はがき大のカードに言葉とイラストで表現するのは、簡単なように見えて実は要求度の高い作業なのです。都内で同じような講座を開きましたが、今回の作品は予想以上の出来映え。西東京の人たちは凄い」と話していた。

 図書館の役割に関連して佐藤さんは「本は読むものでありながら、人をつなぐ道具でもあります。(本の紹介を競う)ビブリオバトルや声に出して本を紹介する(朗読)などもあります。しかしポップはあとに残り、多くの人に思いを伝えられる。今回の催しは、人と人をつなぐ仕掛けを、図書館がプロデュースしています」と図書館の企画を高く評価していた。

 ポップ作品は8月1日から柳沢図書館、9月は芝久保図書館と谷戸図書館で半分ずつ展示。10月は保谷駅前図書館、11月は中央図書館の予定となっている。
(北嶋孝)(写真はいずれもクリックで拡大)

 

 

【関連リンク】
・書評講座「POPをつくろう~あなたの心を動かす1冊~」のPOPと書評をご紹介(西東京市図書館

 

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