公園は「設置保全」から「経営」の時代へ 多摩北部都市広域行政圏協議会がセミナー

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2017年8月22日

国土交通省都市局公園緑地・景観課長の町田誠氏

 西東京市を含む多摩北部都市広域行政圏協議会の緑化専門委員会は8月17日、ルネこだいら(小平市美園町1丁目)で、「公園経営セミナー」を開いた。国土交通省、東京都建設局、西東京市の公園行政を担う管理職と都市公園の指定管理をするNPO法人の代表者を講師に迎え基調講演を実施した。会場には360人以上の自治体の公園事業担当者や関係団体などが集まり、新たな公園事業の在り方を学んだ。

 小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の5市で構成される同広域行政圏は協議会を設置し、専門委員会を設けてさまざまな広域事業に取り組んでいる。

 同セミナーは、公園運営の官民連携、活性化の気運が高まる中、今年6月に都市公園法や都市緑化法が施行されたのを受け、昨年に続き2回目の開催となった。今回のテーマは「新たな段階を迎えた官民連携による公園・緑地政策について」。

 最初に、国土交通省都市局公園緑地・景観課長の町田誠氏が、「官民連携、公園・緑地の利用価値の最大化」をテーマに講演した。町田氏は、「今回の法改正では、収益がとれる事業者に公園施設の運営をしてもらい、収益の一部を公園の再生整備に還元してもらおう、という提案を事業者が選択できる仕組みができました。民間にとってはビジネスチャンス。公共団体は再整備に少しでも還元してもらえば負担が軽くなる。お客さまにとっては公園のサービス水準が上がる。誰も文句を言われないような形で公園の経営的な管理運営ができる、という良い制度です」と説明した。

 続いて東京都建設局東部公園緑地事務所工事課長の竹内智子氏は、東京の公園における官民連携について行政の立場から話した。官民連携で何をするかについて竹内氏は、「行政は、事業に関わる色々な組織主体をコーディネートする必要があります。収益を一般財源にするのではなく、公園事業のために使えるように考える。また、民間市民には行政はパートナーだと理解してもらい、行政側もそう思いながら、ルールを作って一緒に進めていくことが大事です」と話した。

 緑化専門委員会の委員で、西東京市みどり環境部みどり公園課課長補佐の高井譲氏は、公園における市民協働推進型指定管理者制度について、「西東京市では、いこいの森公園を拠点として50の公園に指定管理者制度を導入しています。市民協働担当を設置し市民の要望は課内で情報共有し、必要に応じて随時市民懇談会を実施しています。積極的に市民と協働することで建設的に事業を進められた事例がいくつもあります」と述べた。

 

西東京市みどり公園課課長補佐の高井譲氏

NPO birth事務局長の佐藤留美氏

 西東京いこいの森公園の指定管理者でもあるNPO法人NPO birth事務局長の佐藤留美氏は、「人、自然、まちを元気にする公園づくり」をテーマに、「市民と協働すると緑地の質が高まり、町が元気になります。町づくりに公園づくりは必要です」と話し、実例を紹介しながら具体的な取り組みを説明した。

 八王子市にある長池公園などの指定管理を受託しているNPOフュージョン長池の会長富永一夫氏は、地域資源の融合による公園経営を柱に、「NPO、民間企業、行政がきちんと役割分担すると不可能が可能になる。地域の人たちの志を結集したパートナーシップを作れればいいな、と思っています」などと話していた。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・多摩北部都市広域行政圏協議会 緑化専門委員会主催 公園事業セミナー(西東京市Web
・「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~都市の緑空間の保全・活用によって潤いのある豊かなまちづくりを推進します~(国土交通省
NPO birth
NPOフュージョン長池

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

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