比例のトップは立憲民主 西東京など19区内3市で自民超え

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2017年10月29日

戦い済んで日が暮れて…(ひばりヶ丘駅北口付近の掲示板)

 衆院選の投開票から10月29日で1週間。全議席が決まり政局は動き出しているけれど、東京19区の投票内容はどうだったのか、東京都選挙管理委員会の開票結果をあらためて調べてみた。区内3市の比例代表の得票トップは、6万7,747票を獲得した立憲民主党。西東京、小平、国分寺の3市でいずれも自民党を押さえ、合わせて2,165票の差を付けた。

 東京都の62区市町村のうち、比例代表の得票で立憲民主が1位だった自治体は、西東京市などの3市に加え、武蔵野市、三鷹市、小金井市の計6市だった。

 政党別獲得票を比較すると

 いうまでもなく小選挙区は、候補者の得数で当落が決まる。しかしここでは分析のツールとして政党別得票数を取り上げることにする。

 東京19区(小選挙区)の自民(松本洋平氏)は9万6,229票、立憲民主(末松義規氏)は9万0,540票だった。しかも西東京、小平、国分寺の3市とも自民が立憲民主を上回り、合わせて5,689票も水をあけた。ほかに、希望の党(佐々木里香氏)3万6,588票、共産党(杉下茂雄氏)は2万4,152票だった。

 小選挙区の得票要素は、政党だけでなく、候補者の公約、組織力、後援・支援者のネットワークなどいくつもあるだろう。ここではとりあえずこれら候補者属性を考慮せず、19区内3市の比例代表の政党得票数だけを仮に集計したうえで、19区(小選挙区)の政党得票数と比べてみよう。

 比例代表で、自民党+公明党+日本維新の会+日本のこころ+幸福実現党を合算すると計9万6,473票となり、松本氏の獲得票(9万6,229票)にほぼ並ぶ。

 立憲民主に風が吹いた?

 これに対して、立憲民主+社民党だけだと7万0,190票と、末松義規氏の得票数(9万0,540票)より2万票余り少ない。この差はどう埋まったのか。

 第1のヒントは、希望と共産の両党がともに、小選挙区と比例代表の獲得票に大きな差が見られたことだ。
 小選挙区の希望の党(佐々木里香氏)2万9,743票は、比例の同党獲得票より6,845票少ない。共産党も同じく杉下茂雄氏の獲得した17,377票は、比例の共産党支持票より6,775票少ない。その2党の差の合計1万3,620票が小選挙区で立憲民主に流れたと仮定。さらに「支持政党なし」の4,553票のほとんどが立憲に合流したと仮定すると、末松票は8万8,363票になる。

 しかしそれでも末松氏の獲得実数に届かない。その差1,200票余りはどこから来たのだろうか。このなぞを解くカギは、小選挙区と比例代表の投票者数が違う点にありそうだ。

 19区の投票総数は23万3,889票、比例代表の同区内3市の投票数合計は23万1,956票。小選挙区の投票数が1,933票多い。小選挙区だけに投票した大半が末松氏(立憲民主)に回ったとすると、数字の辻褄がほぼ合うのではないか。

 こういう仮説が実勢に添っているとしたら、立憲民主党に「風が吹いた」との推測を裏書きしている。それでも数字は冷酷だ。比例代表で復活当選した末松氏だが、小選挙区では「風が吹いた」としても、3市とも松本氏に及ばなかったのだ。

 野党共闘が実現したら

 では、市民連合が望んだ野党共闘が実現したとしたらどうだったか。
 小選挙区で末松氏+杉下氏の得票を合算すると、10万7,917票となり、松本氏を押さえて当選できたことになる。さらに2万9,743を獲得した佐々木氏が立候補しなかったらどうなるか。これは、佐々木支持層の内訳によって勝敗が分かれそうだ。

 比例代表の3市合計を基にすると、立憲民主+共産+社民の3党で計9万4,342票となり、こちらでも希望の党の3万6,588票が帰趨を決めると推測できる。

 最後にもう一度、東京19区のおさらいをしてみよう。
 当選した松本氏は9万6,229票を獲得して当選した。投票数に占める割合は41.14%となった。比例代表の自民党票は6万5,582票、28.27%だった。
 比例で復活当選した末松氏は19区で9万0,540票、38.71%。比例の立憲民主票は6万7,747票、29.21%だった。

 数字が示すように、当選者が圧倒的な支持を得ているわけではない。選挙制度が違えば、また結果は違ってくるだろう。選ばれた議員が国政の場でどのように振る舞うか。今後、有権者の注視と発言が必要とされるに違いない。

 ひばりタイムスは今回、出口調査をしなかった。西東京市中心のひばりタイムスなので、小平市や国分寺市まで足を伸ばせなかったのも一因だった。そのうえ「国政選挙」だとの意識が積極性を欠くことにつながった。そのため得票の定性分析をするほど情報を集められず、政党獲得票の組み合わせ仮説にとどまった。取材体制を含め、次回の機会の検討材料にしたい。(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・衆議院議員選挙(平成29年10月22日執行)投開票結果(東京都選挙管理委員会西東京市小平市国分寺市

 

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