初めてのアニメづくりに夢中 保谷第一小でプログラミングの授業
世の中はIT時代。その基礎になるプログラミング教育が、3年後の2020年度から全国の小学校で全面実施される。西東京市は技術系の人材派遣会社と組み、市内の小学校でプログラミングの授業を試行的に始めた。保谷第一小学校(赤羽芳郎校長)で11月16日に行われた授業を見ることができた。
午前10時45分始まりの3時限。3階のパソコンルームには6年1組の38人がいた。今回の特別授業で使うプログラミング言語「Scratch」(スクラッチ)はネット上で操作する。イラストやロゴマークなどを使ってキャラクターを操作する初心者向けのビジュアル言語なので、アルファベットのコマンド(命令)を打ち込む必要はない。
「じゃあ、猫のキャラクターをクリックしてゲームやアニメを作ってみよう」
講師の平田昭宏さんはこう言って、大きなスクリーン映し出されたプログラミング画面に入った。平田さんは技術系の人材派遣会社VSN経営企画部の広報宣伝グループ長。ほかのスタッフ2人と一緒に、「出前授業」の案内人になった。
左のエリアにキャラクターが現れる。平田さんが操作して、猫の鳴き声を出すと、子どもたちもすぐに真似る。「ニャー」「ニャー」と猫の鳴き声があちこちのパソコンから上がった。
ほかに男女のキャラクターが選べる。バスケットボール、リンゴ、魔法使いやゴースト、さらの画面の背景も変えられる。「スクリプト」タブから動きや音、回転なども加えることができる。「コスチューム」タブをクリックすると衣装も着せ替えられる。
キャラクターをくるくる回転させた子が「見て、見て」と言うと、周りの子どもたちが「わあ、すげぇー」「回ってる」と大騒ぎになった。黙々と取り組む子。騒ぎながら楽しむ子。「すみません。これ、どうするんですか」「キャラクターを消したい」…。子どもの質問に応えて、助言役のVSNスタッフが忙しく歩き回っていた。アニメづくりに忙しくて、休み時間もパソコンに向かう子がほとんどだった。
あっという間に4時限も半ばになり、発表の時間になった。平田さんがみんなのアニメを紹介した。猫がモンキーに近寄ってバナナを贈るアニメには、みんなが拍手した。男女が上下に急速回転しながら踊ったり、ハリーポッターと魔女が戦ったりする作もあった。バスケットボールでドリブルした後、ダンクシュートを決めるアニメには平田さんも驚いていた。
子どもたちに操作を教えていた担任の中島剛先生は「今回は総合的な学習の時間でプログラミングを学びました。学習指導要領も変わり、プログラミング授業が必要になります。楽しんで、これからも興味を持って取り組んでほしい」と話していた。
平田さんは「いろんな学校で授業しています。パソコンクラブですでに学んでいる子がいるなど、学校や個人によって状況はさまざまです。しかし社会のIT化、自動化は進みます。プログラミングは一層、必要になってくるのではないでしょうか」と話していた。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・小学校におけるプログラミング教育必修化に向けた研究をはじめます(西東京市教育委員会)
・西東京市教育委員会とプログラミング教育の促進を目的とした取り組みを共同で開始します(VSN)