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熊本地震の教訓を西東京市に! 被災体験者に学ぶ防災講演会

By in 災害・防災 on 2017年11月29日

チラシ(表)

 避難所は、災害発生時に住民の生命や健康、生活を守るために設けられる。いざというとき、どう開設・運営するのか、できるのか-。熊本地震で避難所運営に当たった熊本市職員らを招いた防災講演会が11月25日、市内田無町の田無総合福祉センター視聴覚室で開かれた。西東京市に生かせる教訓を、「教えて!もしもの避難所ネットワーク」代表の小野修平さんに報告してもらった。(編集部)

 

 

 もし、西東京市で大地震が発生したら…。
 昨年4月に発生した熊本地震から1年7か月が経過したが、地域性を考えると、西東京市で想定される地震災害に備えるためには、熊本地震の教訓から学べることが多くあるのではないか。

 

「要配慮者」への対応を十分に

 

 2017年11月25日(土)、「教えて!もしもの避難所ネットワーク」の主催で開催された「熊本地震の避難所に学ぶ防災講演会」に約60名が参加し、熊本地震の教訓から多くの学びを得た。

 オープニングでは、視覚障害の当事者でもある大山桂司氏が震災にまつわる「しあわせ運べるように」「被災地を忘れない」「花は咲く」の3曲を弾き語りで演奏した。特に2曲目の「被災地を忘れない」は大山氏自身が災害を経験して感じたことを曲にしたもので、大山氏の素敵な歌声に涙を拭いながら聴く参加者もいた。

 

大山桂司氏の歌声は参加者の心を掴んだ

 

 弾き語りの後、被災した時の状況やその後の避難生活などの体験談を語ってもらった。自宅近くの教会などで避難生活を送ったが、「もし学校などの避難所に避難せざるを得なかったらどうか」という質問に対し、「避難所には居られない、話にならない」と即答されたことに、多くの参加者が衝撃を受けた。障害者をはじめ、介護の必要な高齢者や妊産婦、乳幼児、日本語が理解できない外国人など、いわゆる「要配慮者」と呼ばれる人たちは、支援の網目からこぼれ落ちていく現状があったという。また、「要配慮者に位置付けられていると普段からも孤立しがちなので、イベントなどを通して普段から交流していくことが大切ではないか」とも指摘した。

 

被災体験談を語る大山桂司氏。聞き手は筆者

 

 続いて、熊本市中央区総務企画課主幹の橋本昌宜氏による講演が行われた。橋本氏は本震後、熊本市内の小学校で避難所運営に携わっただけでなく、小中学校を再開させるために公民館や男女共同参画センター、市立体育館等に設置された「拠点避難所」でも避難所運営に関わり、9月中旬の避難所閉鎖までの半年間にわたって避難所運営に尽力した。

 避難所は家屋の倒壊や火災により自宅に住めなくなった方が最優先で避難生活を送る場所であるが、余震への恐怖から「帰れるのに、帰らない住民」も多くいた。また、自宅で生活を継続したり、公園や自家用車で生活したりしていた方々の把握はできず、物資や情報もうまく届けられなかったという。自助・共助が基本ではあるが、これらにも限界がある一方、うまく機能できなかった公助の部分について、行政職員の視点からの「しくじりポイント」も語った。

 

講演会に約60名が参加した

避難所運営の実態を語る橋本昌宜氏

 

「教えて!もしもの避難所ネットワーク」とは

 

 ところで、西東京市には市内公立小中学校27校に、行政・学校・地域住民によって構成される「避難所運営協議会」という組織が設置されている。過去の災害では、速やかに避難所開設ができず、組織形態も不安定なまま運営された避難所ではトラブルも多く、閉鎖も遅れてしまいがちだった。このため西東京市では公立小中学校にこの組織が設置された。平常時はマニュアルの作成や訓練を行い、災害発生時には避難所の開設と、避難者を中心に組織される「避難所運営委員会」への引継ぎを行うのが任務だ。しかし、現状では行政・学校・地域住民でうまく連携が取れておらず、各校での取り組みに差が出てきてしまい、課題が多いのも事実である。

 2015年12月に「避難所運営協議会」9校が集まり、現状の悩みや課題を共有し合う地域防災講座「教えて!もしもの時の避難所」が谷戸公民館で開催された。それまでは各校の協議会が孤立していたが、講座終了後も定期的に集まり、避難所運営や地域防災について考える場を共に作っていこうという声が上がり、講座参加者を中心に、「教えて!もしもの避難所ネットワーク」が設立された。

 これまでに、27校中23校の「避難所運営協議会」を中心に、市の危機管理室や学校教職員、西東京レスキューバード、社会福祉協議会、民生・児童委員、地域包括支援センター、保谷障害者福祉センター、障害当事者やその家族・支援者、公民館など、多くの市民や関係機関・団体が参加し、交流会や学習会、公民館まつりにおける市民への広報活動を行ってきた。

 

地域防災で暮らしやすいまちづくり

 

 今回の防災講演会では、要配慮者が支援の網目からこぼれ落ちていく現状や熊本地震における避難所運営の「しくじりポイント」について学んだが、西東京市の地域防災もまだまだ十分とは言えず、もし今この瞬間に大地震が発生すれば、同じような状況に陥ることが予想される。

 これからの避難所というのは、自宅で生活ができず、避難生活を余儀なくされた方々のための場所だけではなく、自宅などで生活を継続する市民に対する情報や物資を提供し、情報を取りまとめる地域の拠点になるべきである。一方で、避難所運営協議会はリーダーシップを取る一員にすぎず、多くの住民が平時から地域防災に関わっていなければ、大災害を乗り越えることはできない。

 今後はますます、行政・学校・地域住民・関係団体が集い、連携するとともに、過去の災害で得られた教訓をしっかり学び、それを西東京市で生かせるような形に落とし込んでいくことが必要ではないか。地域防災は災害時のためだけではなく、普段の地域生活においても、誰もが暮らしやすい街づくりに役立つと感じる。地域防災を通して、西東京市がますます魅力ある街に発展していくことを望んでいる。
(写真は「教えて!もしもの避難所ネットワーク」提供。チラシ画像は個人情報保護のため一部修正しました)

 

【筆者略歴】
 小野修平(おの・しゅうへい)
 西東京市中町在住。1994年(平成6年)2月生まれ。ジョージ防災研究所の代表で防災アドバイザーとして、防災講演会や防災コンサルティングをする一方、碧山小学校避難所運営協議会の事務局長や「教えて!もしもの避難所ネットワーク」の代表、西東京消防少年団の指導者などの地域活動をしている。防災という視点から誰もが暮らしやすい西東京市になるように貢献していきたい。

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