待機児童解消、地域包括支援センター整備など盛り込む 総額2636億円の練馬区予算案

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2018年1月27日

2018年度予算案を発表する練馬区の前川区長

 練馬区は1月26日、総額2636億5800万円に上る2018年度一般会計予算案を発表した。前年の17年度より約122億円増となり、最大規模の予算額となる。人口増や景気回復傾向に伴う税収の伸びを見込み、待機児童解消などの子育て支援、進む高齢化を踏まえて地域包括支援センター整備などを強化した。前川燿男(あきお)区長が記者会見で明らかにした。

 前川区長は「練馬区は平成39年(2027年)度まで人口増が続く数少ない自治体の一つ」としながらも、「住民の高齢化による福祉、医療など社会保障費の増大や、遅れている都市インフラ整備、公共施設の老朽化対策などの財政需要に対応する必要がある」と指摘。「持続可能な財政運営」を強化し、2015年に区政の方向をまとめた「みどりの風吹くまちビジョン」や翌16年の「区政改革計画」などに沿って「区民とともにさらに前に進む予算にした」と述べた。

 歳出を目的別にみると、保健福祉費は794億6900万円(30.1%)、子ども家庭費646億6500万円(24.5%)、教育費326億3500万円(12.4%)となり、福祉・子ども関連経費は計1787億6800万円、全体の67%、7割近くを占めた。

 まちづくりを進める都市整備費は前年比22%増の59億3200万円、土木費は同28.1%増の169億700万円と思い切った配分となっているが、まちづくりや道路整備、土木関連費用は計228億3900万円、8.6%と全体の1割足らず。

 性質別の歳出は、子ども、高齢者、生活困難者らへの扶助費が895億9400万円(34.0%)、職員や区長、議員らの人件費は460億5800万円(17.5%)、公債費は46億円(1.7%)となり、これらを合わせた義務的経費は53.2%となった。学校や区立施設、公園、道路などを建設する普通建設事業費(投資的経費)は275億4000万円(10.4%)だった。

 主な事業分野でみると、子ども子育て分野は保育所定員を650人増やし、区立幼稚園の預かり保育や3歳児枠の確保、11時間保育などの支援策を強化して、2017年4月に48人だった待機児童の解消に努める。

 福祉・医療では、高齢者相談センターを25箇所に再編した上で「地域包括支援センター」と改称し、高齢世帯への訪問事業を始める。特別養護老人ホームを2施設増やし、都内で最も多い計31箇所とする。

 都市基盤整備では、大江戸線延伸の早期着工に向けて基金を7億円積み増して計43億円へ。西武新宿線の立体化の早期事業化を進めるため上石神井駅や武蔵関・上井草駅周辺地区のまちづくりも進める。

 「区の魅力を楽しむ」分野では、都市の農業を全国に発信する「ねりマルシェ」のほか、2019年11月の世界都市農業サミット開催に向けて、新年度はプレイベントを計画している。練馬区は緑の比率が23区中最も多いけれども、民有地の比率が75%で減少傾向が続いている。このため個人の庭を地域で守り育てる新規事業を始めるなど「区民ムーブメント」を広げる新たな「みどり・公園施策」を展開する。区立美術館を隣接施設とともに大幅リニューアルする基本構想の策定に着手。練馬文化センターで(仮称)「真夏の音楽祭」を予定し、豊島園と協力し、創作花火と音楽を組み合わせた「花火フェスタ」も盛り込んでいる。

 練馬区は戦後、板橋区から独立して昨年70周年を迎えた。今年1月1日現在の人口は72万8,479人。世田谷区に次いで都内で2番目に多い。練馬区の将来人口推計では、今後10年は増え続け、2027年の73万9000人をピークに緩やかな減少に転じる、としている。

 練馬区の転出転入を同推計でみると、2015年のデータでは区外への転出が板橋、中野、杉並に次いで西東京市が1191人(3.1%)で第4位、同区への転入は827人(2%)で第7位となっている。

 前川区長は東京都知事本局長などを経て2014年に初当選。昨年12月議会で、今年4月の区長選に再選出馬を表明した。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・平成30年度当初予算案プレス発表(みどりの風吹くまちへ「改革ねりま」をさらに推進)(練馬区
・練馬区の人口の現状と将来推計(平成29年7月28日)(練馬区、pdf)
・前川区長の再選出馬の決意を!(2018年1月18日号「区議会だより」

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