若者サミットの2案発表 西東京市まちづくりシンポジウム

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙環境・災害 オン 2018年5月23日

田無駅南口の「にぎわい広場」イメージ図を説明する

 「住みたいまち、住み続けたいまち」を目指して昨年から議論を重ねてきた「まちづくり若者サミット」メンバーによる将来計画2案が5月19日、西東京市主催のシンポジウムで発表された。駅前を拠点に賑わいを創出する試みと、緑を生かす「ボタニカルシティ」計画。この両案は週明けの21日、西東京市の「第2次総合計画」見直しを進めている総合計画策定審議会でも紹介され、検討中の「後期基本計画」に盛り込まれることになった。

 「第2次総合計画」は西東京市の最上位計画。2014年から10年間の市の姿を各分野にわたって詳細に定めている。計画の残り5年間の施策内容を昨年から見直してきた。若者サミットは18歳から35歳までの男女18人を公募。若い世代の参加によって地域振興や情報発信、まちの魅力向上のアイデアを後期計画に取り込もうとの狙いで始まった。

 若者サミットの両案とも、西東京市の沿線に5駅あるアクセスの良さ、都心に近い利便性、緑豊かな自然環境を強みと分析。若者向けのおしゃれな店や遊べる施設が少なく、賑わいが足りないなどが弱みと指摘したうえで、若者にも魅力ある要素を取り入れ、賑わいを創るアイデアを練った。

 シンポジウムで最初に発表された「つながりの広場づくり事業」案は、駅前広場を拠点に賑わいをつくるのが狙い。駅前に緑と公園を取り込み、保育所や駐車場なども組み込む。カフェや夜店があり、フェスティバルなどのイベントを定期的に開催するのもポイントだと指摘。西東京ならではの商品を展示するなどシティー・プロモーション活動も組み合わせる。各世代が楽しく過ごせる賑わいづくりの理想例として、交通広場建設が予定されている田無駅南口の「にぎわいの広場」イメージ図を紹介した。

 

ボタニカルシティ案を発表する

10年~20年後のまちのイメージを示す

 

 もうひとつの「ボタニカルシティ(植物のパワーを暮らしに取り入れられる街)」計画は、市内に広がる緑と公園に着目。特に市内最大のいこいの森公園を仮想ターゲットに、若者に好まれる飲料スムージーに地元野菜を生かし、おしゃれなカフェで提供する。ヨガなどの健康に役立つ催しや移動図書館も予定し、休日には映画上映、夜の野外イベントなども開く。産直マルシェも取り込んで、公園を多世代が賑わう場にする。特に時間軸を設定し、10年から20年後のまちの姿を段階的に実現しようとする試みだった。

 立案のため視察したのは、豊島区の南池袋公園や武蔵境駅北口の複合施設QuOLa(クオラ)。南池袋公園は地元の商店街や市民、地権者らが協働。区画整理事業で公園をおしゃれな空間に変え、若者を中心に多世代が集う憩いの場にした、いま評判の事例。武蔵境駅前のクオラは、市有地に建てた民間テナント施設に市政センターやカフェ、飲食店、医院などが入り、健康教室や学びの場も活用して賑わいと触れあい実現を図る公民連携事業だった。

 会場から「自然や緑をベースにしたアイデアが出されたのは心強い。いま暗渠になっている田無用水を復活し、地産地消のマルシェも始めたい」との感想もあった。

 発表を聞いた参加者の意見もさまざま。ある関係者は「さすが若者の発想は違う。これまで考えつかなかった。勉強になった」と話した。「旧東大農場の売り出し予定地の活用や、保谷庁舎の取り壊し予定跡地をどうするのか、もっと具体的な方針を考えてほしかった」と注文する市民団体の男性もいた。

 総合計画策定審議会でも意見が交わされた。「若者サミットの案はとてもいい。統合庁舎や既存庁舎の跡地活用を含めて取り込んだらスケールが大きくなり、もっとよくなる」との意見のほか「畑や緑が最近、どんどん消えていく。若者の夢を実現するために、行政のバックアップが必要」との指摘もあった。

 審議会で企画政策課から、後期基本計画の「各論」(原案)に両案を取り込むとの説明があった。「ボタニカルシティ」案は「みどりの空間の創出」施策のなかで「民有地の緑化支援、市民協働や民間活力の導入による公園の活性化と新たな創出」などと書き込まれた。「つながりの広場事業」は「まちの魅力の創造」施策で、駅前情報発信拠点の整備、市内外へのシティプロモーションに加え「地域ごとの特性を踏まえ、賑わい、交流の拠点としての機能充実を検討する」などとなった。

 同課の説明によると、後期基本計画は6月下旬に粗案を固め、パブリックコメントや市民説明会を経て8月の審議会で議論。来年1月か2月ごろに最終案をまとめる予定。

 

東京医科歯科大学大学院教授・WHO健康都市連合事務局長の中村桂子さん

「まちづくりゆめトーク」で話し合う参加者。左は司会の和田清美首都大学東京教授

 

 両案発表に先立って、東京医科歯科大学大学院教授で、西東京市も加盟しているWHO健康都市連合の事務局長も務める中村桂子さんの講演「いっしょにみつけよう、人とまちの『健康』を」と、各分野の専門家が語り合うトークセッション「まちづくりゆめトーク」が開かれた。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・若者のアイデアが西東京市を変える まちづくり若者サミット(西東京市Web
・まちづくりシンポジウムを開催しました(西東京市Web
・総合計画策定審議会(西東京市Web
・公民連携による武蔵境駅北口市有地の有効活用について(武蔵野市
・南池袋公園(豊島区

北嶋孝
(Visited 1,367 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA