委員会審査の「議事録ない、録音、メモもない」 ごみ処理施設「柳泉園」の長期包括契約業者選定

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙環境・災害 オン 2018年5月31日

柳泉園組合のごみ処理施設クリーンポート(東久留米市下里)

 西東京市、東久留米市、清瀬市のごみを共同処理する一部事務組合「柳泉園組合」(管理者・並木克巳東久留米市長)は昨年、焼却施設の管理運営に関して15年間の長期包括委託契約を結ぶ総合評価一般競争入札を実施し、審査委員会が計6回開かれた。このうち業者を選定する最後の2回の委員会議事録は作成せず、録音もメモもない-。5月30日に開かれた同組合議会第2回定例会の陳情審査で、執行部側がこう答弁した。

 陳情によると、第5回(2017年1月12日開催)と第6回(同年2月25日開催)の審査委員会議事録などを4月25日に情報公開請求したところ、5月8日になって「どちらも文書は存在しない」との通知を受けた。「第1回から第4回までの議事録は柳泉園のホームページに掲載されているのに、第5回からは掲載されていない。議事録不存在は考えられない」としてあらためて開示を求めた。

 

柳泉園組合のHP。審査委員会の議事録は4回まで。5,6回分は記載がない(クリックで拡大)

 

 本会議に提出された陳情の審査は廃棄物処理等特別委員会に付託された。
 同委員会でまず執行部が意見を求められた。担当した技術課の佐藤元昭課長は「5回と6回の審査会議事録は作成しなかった。そこで説明された業者側の提案内容は技術的なノウハウや知的財産に関わる部分があり、他の団体の事例も参考にして作成しないことにした」と述べた。その後の質疑に対し「(議事録だけでなく)録音もメモもとっていない」と言明し、議事録を作成すると「委員の自由な発言がしづらくなる」「第5回が始まる前に、議事録を作らないと委員に伝えた。特に意見はなかった」などと答えた。

 議員からは批判が相次いだ。村山順次郎氏(東久留米市議)は「委員会の議事録を作らないだけでなく、録音やメモもないのは問題。通常ならまず議事録を作り、情報公開条例に則って公開、非公開などを決める」「あとで検証するためにも、知る権利のためにも、議事録を作成すべきだ」と執行部の対応に疑問を投げかけた。

 深沢まさ子氏(清瀬市議)は「1回から4回まで議事録を作成、公開しているのに、5回、6回がない。しかも議事次第も掲載されていない。何がどう話し合われたのか分からない。これでは市民に疑念を持たれ、組合のやり方に不信感が生まれてくる。今回の長期包括契約は期間が15年と長い。その間に(組合側の)担当者も代わり、文書がなければ必要な事実経過、背景も分からなくなる。作るのが大原則だ」と話した。

 小西みか氏(清瀬市議)も「議事録を作らないなどあり得ない。せめて議事次第だけでもホ-ムページに掲載し、議事録を掲載できない理由を明らかにすべきではないか。説明責任を果たしてほしい」と説いた。瀧島喜重氏(西東京市議)は「みなさんと同じ意見だ」と述べた上で、「開会前に議事録を作らないと委員に伝えた」との答弁を取り上げ、「そういう発言こそ議事録に記録すべきではないか」と指摘した。

 佐藤課長は「5回と6回の審査内容を集約したのが、ホームページに公開している『審査講評』だと認識している」と述べながらも、「議員のみなさんの指摘を踏まえ、今後は議事を作成し、公表できるものは公表できるよう検討したい」と答えた。

 審査委員会の設置要綱に議事録に関する条項はない。1-4回分を作成し、5-6回分を作成しなかった理由や手続きなどについて詰めた遣り取りはなかった。

 4月に新任の鹿島宗男助役は事実確認を求められただけ。トップの並木管理者への質問はなく、佐藤課長がこの件の応答をほぼ一手に引き受けた。

 「議事録の公開」を求めた陳情は、「議事録なし」との答弁などから結局、委員会と本会議で賛成が得られず、不採択となった。

 陳情を提出し、議会の遣り取りを傍聴した東久留米市南沢5丁目の川井満さんは「議事録がないとは信じられない。あり得ない。その一言に尽きます」と絶句状態。執行部側の答弁を信じかねていた。

 この日提出されたもうひとつの陳情は、「情報公開請求しても請求書を受理しない」「別の文書を提供する」「口頭説明で済ませようとする」などの執行部側の状況を訴え、適正な対応を求める内容だった。執行部側は訴えを否定し、「住民の理解を得て適正に対応してきた」と答えた。廃棄物処理等特別委員会で質疑のあと採決した結果、4対4の賛否同数となり、委員長の決定で陳情は不採択。本会議も賛否同数となり、議長の決定で不採択となった。

 クリーンポート(ごみ焼却施設)の長期包括管理運営事業期間は15年に及ぶ。2年前の2016年8月に入札公告し、2社が応札。昨年(2017年)3月13日に「住重環境エンジニアリング」が落札して3月28日に仮契約を結んだ。ところが同社は4月1日付けで「住友重機械エンバイロメント」に吸収合併され、本契約の相手は同エンバイロメントとなった。本契約が迫った4月20日、柳泉園組合の臨時議会が開かれ、長期包括契約の議会議決が求められた。「議会の承認は必要ない」としていた対応の突然の変更だった。組合助役の減給処分も同時に提案され、厳しい質疑を経てともに賛成多数で可決された。

 これら一連の経緯を踏まえて3市住民が契約の取消しを求めて監査請求。棄却されると東京地裁に住民訴訟を起こし、裁判が続いている。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・柳泉園組合クリーンポート長期包括委託審査委員会について(柳泉園組合
・柳泉園クリーンポート長期包括運営管理事業の審査講評について(柳泉園組合

北嶋孝
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委員会審査の「議事録ない、録音、メモもない」 ごみ処理施設「柳泉園」の長期包括契約業者選定」への1件のフィードバック

  1. 1

    長期包括契約の経過に誤りがありました。臨時議会で契約を承認したのは昨年4月、契約は議会承認後でした。お詫びして関係部分を差し替え、末尾に追加ました。(北嶋孝)

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