対話型ロボットが高齢者支援サービス 東京聖新会の特養ホームで実証実験

投稿者: カテゴリー: 暮らし健康・福祉 オン 2015年6月4日

 社会福祉法人東京聖新会(西東京市向台町、新井幸枝理事長)が、対話型のコミュニケーションロボットを活用した高齢者支援サービスの実証実験を、同法人が運営する特別養護老人ホーム「フローラ田無」(施設長=尾林和子同法人理事)で始めている。

 

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ロボットとコミュニケーション。特養ホーム「フローラ田無」提供

 

 この実験は、高齢者の入居している室内に対話型のロボットと、生活状況を常に確認できるセンサーを置き、入居者の音声や起床・離床の有無、脈拍、血圧、体温、睡眠状況などのデータを収集、入居者の健康状態や安否の確認にどう役立つか検証していく。

 実験は東京聖新会とNTTデータ、一般社団法人ユニバーサルアクセシビリティ評価機構(東京・新宿区、尾林和子代表理事)の3者共同プロジェクトの形で進められている。NTTデータは、各種のデータを「クラウドロボティクス基盤」と呼ばれるデータ分析システムにネットワーク伝送し総合的に解析、入居者の生活状況を認識する。

 またユニバーサルアクセシビリティ評価機構は、ロボットなどの導入によって介護スタッフの肉体的・心理的両面に渡っての業務負担がどう軽減されるか、入居者との対話がどの程度誘発されたか、などの効果測定の基準作成を行っていく。フローラ田無の尾林施設長は「ロボットの導入によって直接的な『人による寄り添い』などの時間確保がさらに進んでいけば、高齢者の『安心度』も高まるのではないか」と指摘する。

 

実証実験が特養ホーム「フローラ田無」で始まった。同ホーム提供

実証実験が特養ホーム「フローラ田無」で始まった。同ホーム提供

 

 実験に使われているのは高さ30センチ程の人形のような形をしたロボットで「Sota(ソータ君)」という名前が付けられている。ソータ君は、入居者が朝、ベッドから起き上がると「おはようございます。今日のご機嫌はいかがですか」と声がけをしたり、歩行時に足がふらつく人には「足元、お気を付け下さいね」とか、「○○さん、今日はお薬を飲みましたか」という服薬管理の声がけもしてくれるという。今後、研究開発の進展によって、入居者一人ひとりに即した音声対話機能が可能になってくると予測されている。

 次の段階として、在宅介護の場にもコミュニケーションロボット活用の実証実験を広げていく考え。フローラ田無の尾林施設長は「介護スタッフの不足は今後ますます深刻化するといわれている。そうした状況を少しでも緩和するためにも、ロボットをはじめとするセンシング機器の発展に期待を寄せている」としたうえで「住み慣れた家で、穏やかに老後を過ごしたいという思いをお持ちの方は、決して少なくない。『会話』や『見守り』を対話型のコミュニケーションロボットがサポートすることで、介護する側もされる側も安心して老後を過ごすことができるようなロボット開発の一助となればいいと考えて実証実験に参画している」と語っている。
(和泉田 守)

 

【筆者略歴】
和泉田守(いずみだ・まもる)
 1949年茨城県生まれ。一橋大学経済学部卒。元日本経済新聞記者。日本社会事業大学通信教育科で精神保健福祉を学び、2015年3月に精神保健福祉士に登録。

 

【関連情報】
・社会福祉法人 東京聖新会>> http://www.tokyo-seishinkai.or.jp/sp/index.html
・コミュニケーションロボットを活用した「高齢者支援サービス」の実証実験を開始(NTTData)
>> http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2015/032400.html

 

 

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