佐々病院と中央総合病院が合同災害訓練

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2015年11月19日

 西東京市にある佐々総合病院(田無町4丁目)と西東京中央総合病院(芝久保町2丁目)は11月7日、大地震発生を想定した合同大規模災害訓練を行った。戸田中央医科グループの多摩地区合同訓練の一環として行われたもので、西東京市地区は今回で2回目。昨年の反省点を踏まえた訓練となった。(写真は、医師による措置。西東京中央総合病院)

 

 東日本大震災では、被災地の病院間で患者情報を共有する仕組みがなく、患者がひとつの病院に集中したり、受け入れ先の病院が見つからないなどの課題が残った。同市内にある戸田中央医科グループの2つの病院間もこれまで情報共有がなく、訓練で患者のスムーズな救急搬送の手段などを模索している。

 医療法人社団時正会「佐々総合病院」は1908年創立。重症患者を扱う東京都二次救急施設で東京都災害拠点病院に指定。2009年、戸田グループの傘下に入った。医療法人社団東光会「西東京中央総合病院」は1976年、戸田中央医科グル-プの病院として芝久保町に開院。東京都二次救急医療機関に指定されている。徒歩約10分圏内に2つの病院はある。

 

 

 訓練では佐々総合病院は、医師、看護師、検査技師など約130人。西東京中央総合病院は約160人が参加したほか、西東京医師会、西東京消防署、田無警察署、西東京市、エフエム西東京などが協力した。

 7日午後1時30分、マグニチュード7.3、震度6強の多摩直下地震発生。ライフラインの供給が停止するなか非常用自家発電で復旧したという想定で、それぞれの病院を会場に時間外診療中に訓練が行われた。

 佐々総合病院では、訓練開始のアナウンスを合図に3号館4階に災害対策本部を設置。各部署(診療科)は被害状況を本部に報告し、本部はそれぞれの対応策を検討し指示した。前回は1号館(本館)1階正面玄関受付付近に対策本部を設置したが、搬送された患者などであふれ返り、対策本部を機能させるスペースを確保できず、今回は場所を変えた。

 その後、負傷者に扮した病院職員に対し、医師らがけがの状況などを見極め、治療の優先順位を決めるトリアージを実施。実際の救急患者と同様の模擬応急処置が行われた。両病院間の搬送受け入れ訓練では、互いの専門分野を共有し、西東京中央総合病院から佐々総合病院へは妊婦患者が、佐々総合病院からは透析患者が搬送された。

 佐々総合病院では、今回は事前の台本は作らず、訓練当日一部の職員にシナリオの概要が渡された。西東京中央総合病院は、各担当部署が対応すべき項目が箇条書きされたアクションカードに沿って訓練が行われた。

 訓練を終え、佐々総合病院総務課の山田裕隆さんは、「訓練の総括はこれからだが、今回は災害時の状態に近づけるため台本を割愛した。対策本部の担当者たちは災害状況を一つひとつ確認しながら対応策を考えたため、指示などを出すタイミングが遅れた。今後は迅速な対応ができるよう、ぶっつけ本番の訓練も取り入れ実際の災害発生時に備えたい」と抱負を述べた。西東京中央総合病院総務課の黒沢圭一係長は、「トリアージの後バタバタしてしまった。透析患者の搬送訓練ではFAXで患者の状態を知らせてから無線で連絡する予定だったがFAXを送ることができなかった。改めて病院全体へ事前の訓練周知を徹底する」と話していた。
(柿本珠枝)

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

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