難病福祉手当は所得制限、併給禁止へ 文教厚生委員会が条例改正案可決

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙健康・福祉 オン 2016年3月11日

 西東京市の難病者福祉手当に新たに所得制限を設け、市の心身障害者福祉手当との併給を認めないなど支給要件を改める条例改正案が3月10日、市議会文教厚生委員会で審査された。採決の結果4対4の可否同数となり、森信一委員長(民主改革フォーラム)が裁決して可決された。

 西東京市難病者福祉手当条例は、難病患者に月額5500円を支給、所得制限も併給禁止条項もない。しかし改正案によると、支給対象者が20歳以上の本人だけの場合、年360万4000円(控除前の参考給与収入額518万円)、扶養親族が1人いると398万4000円(同565万6000円)、2人だと436万4000円(同613万2000円)などとなる。このほか、心身障害者福祉手当を受給していたり介護施設などに入居していたりすると、難病者福祉手当を支給しない。

 これに対して「難病は治療法がない。一番困っている本人や家族に手を差し伸べるのが福祉ではないか」「障害のある人と、障害と難病を重複して抱えている人を同じに扱うのは腑に落ちない」などの意見が出された。

 障害福祉課の青柳元久課長は「障害者総合支援法が成立して、難病も障害者の定義に追加され、難病患者も総合的なサービスを受けられるようになった。この手当はもともと、難病患者に医療助成以外のサービスがない時代に旧田無市と保谷市が相次いで始めた市単独の事業。当時と患者を取り巻く状況は違ってきた」と説明。「対象難病も昨年(2015年)7月の第2次追加によって計306疾病に拡大し、今後も増える見込みなので、厳しい財政事情の中、この制度を廃止するのではなく、持続的に維持するため(の条例改正だと)理解してほしい」と述べた。

 障害福祉課によると、2015年度末の難病福祉手当受給者は1971人、支給総額は1億2695万7000円になる見込み。現行のままだと、2016年度の受給者は2043人、支給額は1億3200万円に増えると予想される。しかし条例改正案で支給要件が制限されると、受給は1490人、支給は1億800万円に抑えられるという。

 同課によると、多摩26市のうち、町田市とあきる野市が同種の手当・見舞金を廃止。残る24市が実施し、平均支給額は約6000円。支給制限のないのは西東京など5市だが、西東京市以外にも支給制限の動きがあるという。

【採決結果】
 賛成:大林光昭(公明)佐藤公男(公明)保谷なおみ(自民)小林たつや(自民)
 反対:小峰和美(統一会派みらい)かとう涼子(生活者ネット)大竹あつ子(共産)森てるお(無所属)

 文教厚生委員会はこのほか、武蔵村山市が昭和病院企業団から脱退することに伴う規約改正と財産処分案、国民健康保険料の値上げ案など、計7議案を可決した。前議会から継続審議となっていた3館合築関連の請願1件、陳情3件、新たに出された「3館合築の棚上げに関する陳情」はいずれも継続審議となった。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・西東京市難病者福祉手当条例(西東京市例規集
・難病患者支援(東京都
・指定難病病名一覧(Excel, 厚生労働省
・障害者総合支援法が施行されました(厚生労働省

 

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