サクラの開花はまだ? 西東京いこいの森公園
東京管区気象台は3月21日、東京地方のさくらは開花した、と発表した。調査地点は、千代田区九段の靖国神社境内にあるサクラの木。靖国で咲いても、西東京で咲くとは限らない。確かめようとこの日の午後、市内のほぼ中央にある西東京いこいの森公園に出かけた。でも意外だった。散り始めの葉桜もあれば、満開も、枝先につぼみを付けたサクラもある。なぜだ?
気象庁によると、サクラの開花は各地にある「標準木」を見て決める。開花日とは「5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日」なのだ。では恐れながら、西東京の「標準木」を勝手に、いこいの森公園のサクラに見立てよう。
谷戸新道から公園に入るエントランスにサクラの木が並んでいる。根元には薄汚れた花びらが散り、梢は新緑の葉桜で覆われている。「散ってるじゃん」とガッカリしてはいけない。この木は、カワヅザクラ(河津桜)。早咲きで知られている。
自転車止めが並ぶ入口に進むと、勢いよく咲いている木が見える。「満開じゃん」とぬか喜びしてはいけない。ここはカンザクラ(寒桜)の一帯。なかでもオオカンザクラ(大寒桜)が濃いピンクの花びらを空いっぱいに広げていた。
管理棟を左に見ながら広い芝生の広場脇を進むと、枝先につぼみを付けた木々が見えてくる。これがソメイヨシノ(染井吉野)。なんだ「つぼみじゃん」と早とちりしてはいけない。どんな種類のサクラを判断基準にするかによって、散ったり咲いたりつぼみだったりするのだから。サクラの種類は多いのだ。
気象庁は、ソメイヨシノを「標準木」としている。各地によく見られるからという。だが、多数派の標準があれば、もちろん少数派の例外あり。沖縄・奄美大島はヒカンザクラを見て開花を決め、北海道の一部はエゾヤマザクラで判断する。
公園の芝生には、シートを敷いて家族や友人らが飲んだり食べたり興じたり。簡易テントや乳母車も見える。陽気と花がマッチすれば、楽しい集いと語らいのひとときが訪れる。空気はたしかに、春めいていた。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・さくらの開花についてのお知らせ(東京管区気象台)
・さくらの開花日と満開日(気象庁)
・桜の標本木について(桜.jp)