集中豪雨に備える 東伏見公園で総合水防訓練

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2016年6月2日
土のう工法市民体験(筆者撮影)

土のう工法の体験コーナー(筆者撮影)

 梅雨や台風のシーズンを前に西東京市と西東京消防署は5月29日、合同の総合水防訓練を都立東伏見公園で行った。災害時支援ボランティアや西東京消防少年団、市民などおよそ300人が参加。さまざまな水防工法や救出・救助訓練に取り組んだ。

 訓練は関東南岸に接近した台風の影響による集中豪雨のため、市内を流れる石神井川が急激に増水して配水管やマンホールなどから水が溢れ、住宅などで浸水被害があったという想定で行われた。

 市民がビニール袋に土砂を入れて土のうを作る「土のう工法体験」や、ペットボトルやビニール袋に水を入れ、演芸用のプランターに並べて建物への浸水を防ぐ「簡易水防工法」に取り組んだ。土のうを何段にも積み上げる「積土のう工法」の訓練もあった。このほか河川に流された車から逃げ遅れた人をはしご車で救出・救助する大掛かりな訓練なども行われた。

 実際に土のう作りを体験した親子は、「普段体験できないことが経験できたり、水害に関するいろんな知識を得られたのでよかった。いざというとき役に立つと思う」「袋にたくさん砂を入れたら、すごく重くて持つのが大変だった」と話していた。

 

 

 訓練の最後に、市の水防管理者の丸山浩一西東京市長は「近年ゲリラ豪雨などによる被害は深刻です。自らの身を守るため、各関係機関が協力して行った今回の訓練は、有意義なものだったと思います。訓練で培った知識をいざというときに活用してほしい」と講評した。

 西東京市の地形は、西東京市地域生活環境指標(平成23年度版)によると、市内南部を流れる石神井川周辺地区は、標高54m未満から62m。小平市、小金井市に接する西部地区は、62m以上と高く、中部、北部方面に向かうにつれ低くなっている。

 市内の浸水予想区域を示す「西東京市ハザードマップ」のまとめでは、総雨量589mm、1時間あたりの最大雨量114mmの場合、石神井川周辺地区は、最高2m以上の浸水を予想。緑町1・2丁目地区、泉町5・6丁目地区、中町3丁目地区、向台町2丁目、市内北部の白子川流域でも浸水20㎝から2m以内を予想している。

 近年で市内最大の水災害は、大雨洪水警報が発令された2014年7月24日に発生したゲリラ豪雨によるもので、1時間あたりの最大雨量は114mm。向台町2丁目で床上浸水3棟、床下浸水5棟、新町4丁目で床下浸水3棟、青梅街道東伏見坂下など11か所で道路冠水の被害があった。

 西東京市危機管理室の話では、通常市がストックしている土のうは2000袋。消防団員や市の職員が毎年、水防訓練当日に600袋作り、残りは平時に作っている。2013年と翌年のゲリラ豪雨では、住民から備蓄だけでは足りない数の土のう要請があり、急遽追加で作ったという。

 雨水対策として市は、雨水を一時的に地下にためて住宅浸水等を防ぐ「雨水貯留管」の埋設や雨水管整備の強化などに努めている。この6月市議会定例会には、保谷町5丁目地内の雨水対策工事の請負契約に約1億4900万円を充てる議案を提出する。工事では今ある直径30㎝の雨水管に加え、直径1mの管を合わせて埋設する。

 西東京市危機管理室の藤澤正樹副主幹は、「市ではさまざま雨水対策をとっていますが、想定外の豪雨に対応し切れないケースもあります。市民のみなさんには、道路沿いの側溝などが詰まって道路が冠水しないよう、日頃から落ち葉の清掃などに協力してほしい」と話している。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・ハザードマップ(浸水予想区域図)(西東京市Web
・浸水予想区域図(PDF:2,871KB)(西東京市Web
・西東京市防災ガイド&マップ(西東京市Web

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

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