こもれびロビーコンサートが20回目 音楽好きの市民と歩む

投稿者: カテゴリー: 文化 オン 2016年7月24日
木管五重奏がロビーに響く(保谷こもれびホール)

西東京フィルメンバーの木管五重奏がロビーに響く(保谷こもれびホール)

 保谷こもれびホールのエントランス(ロビー)で折々開かれてきた「こもれびロビーコンサート」が7月23日、ちょうど20回目を迎えた。予約不要、入場無料。午前11時からお昼前までのひととき。いつもは静かな午前中のロビーが、音楽をすべての市民に楽しんでもらおうという出入り自由の音楽空間に早変わりする。

 今回は2013年から始まり、回を重ねた節目の特別版。ホール開設以来、緊密な関係を保ってきた西東京フィルハーモニーオーケストラの弦楽アンサンブルと木管五重奏のメンバーが出演。熱心な聴衆の拍手を受けていた。

 この日はまず、モーツァルトの「ディベルティメント K138」がカルテット編成で演奏された。その後、メンバーが入れ替わってハイドンの「ディベルティメント 変ロ長調」の木管五重奏が続く。第2楽章の主題がブラームスの変奏曲に使われたことで有名だ。最後に「白鳥の湖」や「アルルの女」などの有名な曲を次々に取りこんで演奏する「山の音楽家じゅんばん協奏曲」が演奏された。

 曲の合間に、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットの奏者が楽器の特性を説明する。西東京フィル代表の西田克彦さんも自身の吹くホルンの仕組みを紹介。併せて西東京市の音楽事情を語った。「西東京市にはオーケストラが三つあります。私たちの西東京フィル(旧保谷フィル)、西東京交響楽団(旧田無交響楽団)、それに西東京ジュニア・ユースオーケストラです。そのうえ合唱団体は50ほど活動しています。20万都市では聞いたことがないぐらい音楽活動が活発ですよ」。西田さんは大手レコード会社のディレクター、プロデューサーを経て、都内の公共ホールの運営も経験した。音楽界の事情に通じた人の言葉に、うなずく人たちも目に付いた。

 

モーツァルトのディベルティメントK138を演奏する4人

モーツァルトのディベルティメントK138を演奏する4人

「西東京市にオーケストラ三つある」と話す西田克彦さん

「三つのオーケストラが西東京市で活動しています」と話す西田克彦さん

 

 ロビーコンサートにはこれまで、ピアノや声楽、合唱、バイオリンなどのクラシック音楽のほか、ジャズやラテン音楽も登場。主に平日の午前、メインホールが利用されないときを見計らって、不定期に開いてきた。地元のアマチュア音楽家らに演奏の機会を設け、広く市民に親しんでもらうのが狙いだった。公演情報を知らせる折り込みチラシの「イベントニュース」で出演希望を募ると、確かな手ごたえが返ってくる。

 今年3月に館長を退き、いまは運営アドバイザー(顧問)を務める岸上優さんはロビーコンサートの経緯を振り返りながらこう語る。「私は都内いくつかの公共ホール運営を経験しました。入場無料のミニコンサートをお昼前後に開く例は珍しくあません。しかし、西東京市でこんなに応募が多いのには驚きました。ほかのホールでは、応募してくる方々はホントに少なかったかった」。西東京市では出演待ちの団体や個人がいつもリストに載っているという。岸上さんは「みな、もったいないぐらいうまい」とも付け加えた。前もって地元の音楽事情を西田さんの話で聞いていたおかげで、岸上さんの説明がすんなり飲み込めた。

コンサートのチラシ(クリックで拡大)

コンサートのチラシ(クリックで拡大)

 演奏する側も聴く側も、音楽を楽しむ市民たち。このコンサートは、そんな多くの人たちに支えられて回を重ねてきたのかもしれない。

 こもれびホールWebサイトの「活動報告」によると、「ロビーコンサート」の名称で、エントランス会場を使ったコンサートは2013年5月から始まった。その後2015年4月から新たにホールの指定管理者になったJNS共同事業体(代表団体はJTBコミュニケーションズ)が引き継いだ。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・こもれび活動報告(保谷こもれびホール
・西東京フィルハーモニーオーケストラ >>

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