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子どもたちの「政治と選挙」体験 練馬区立小中学校の特別授業はいま

By in 選挙, 子育て・教育 on 2017年2月4日

 

自分たちの投票した結果を見守る子どもたち

 練馬区の小中高校で、「政治と選挙」を学ぶ主権者教育の特別授業が展開されている。1月から3月にかけて、区立学校を中心に計13校で実施。選挙管理委員会が各学校と連携して企画する現場を訪ねた。

 「政治って何だ」「民主主義って何だ」-大きく変わる中学生

 中学校の啓発講座は1月14日午前、練馬区立大泉学園中学校(桐野和之校長、大泉学園町4丁目)武道場で開かれた。2時間の特別授業に、3年生152人が集まった。講師は、NPO法人YouthCreate(ユースクリエート)代表の原田謙介さん(30)。中学高校時代はサッカー部だったと自己紹介。「ポジションは左サイドベンチ」と生徒を笑わせたあと、大きなスクリーンに「政治って何だ」と最初のテーマを映し出した。

 「政治と聞いて、思い浮かぶことは?」。こう聞かれた生徒たちはちょっと面食らったようすだった。しかしすぐに手が上がる。

 「選挙」。「正解ですね。ほかに」と原田さん。別の生徒が「賄賂!」と答えると、会場から笑い声が上がった。「国会」「都議会」などの発言も。これらを引き取って原田さんは「政治とは社会をよくしていく動き。主役はあなた」とまとめる。「政治にうさんくさいイメージを持つかもしれないけれど、考えるだけでなく、働きかけるのが政治だと、ぼくは考えています」と話した。

 

「国政だけが政治じゃないよ」と語りかける講師の原田謙介さん

「政治は必須科目です」と述べる選挙管理委員会の阪田真司事務局長

「さあ、答える人は誰かな?」

 

 次は「民主主義って何だろう」。具体例は身近だった。家族で食事しに行くことにしたけれど、それぞれ食べたいものが違う。弟はハンバーグ、お父さんは中華、おばあちゃんは寿司。「さあ、どこへ行く?」。

 グループでワイワイガヤガヤしたあと、ある生徒は「寿司屋に行く」。どうして? と原田さんが尋ねると、「(おばあちゃんは)余命が短いから」と答が返ってきた。率直な言葉に生徒たちのどよめきが起きた。フードコートでみなが好きなものを食べるという発言や、コンビニでそれぞれの好きなものを買ってくるという意見もあった。

 「それぞれ意見や要求は違う。全体を見て調整する。多数決で決めるとは限らないし、多数決が正しいとも限らない」と原田さんは付け加えた。選挙権が18歳からになったと伝え、衆議院、参議院の選挙で立候補できる年齢も生徒に答えてもらって授業の前半を終えた。

 でも政治は遠いと感じる生徒は少なくない。後半で原田さんは、学校近くの商店街を撮った写真を映しながら、「この写真で政治や行政に関わっている部分を挙げてみよう」と問いかけた。道路に引かれた白線と制限速度の数字を目にとめて「歩道」という生徒。街灯、交通標識、カーブミラー、下水が流れるマンホール、ごみ、電柱、建築基準法があるから「家」などなど。原田さんは「消費税や五輪のような大きな話だけでなく、身の周りにある多くが日々、政治と関わっている」と指摘する。

 「練馬区長は知ってる?」と聞くと「前川さん」とすぐに生徒の答が返ってきた。「では、名前は?」となると、ザワザワ。でも間もなく「燿男あきお」と正解が出る。大人たちにこころなしか、ホッとした表情が浮かんだかな?

 最後に原田さんは「どんなジュースが飲んでおいしいかは、それまでいろんなものを飲んだ経験が決め手になるね」と述べた後、「3年後に選挙権を使える年齢になる前に、ちょっとでいいから政治や行政に関心を持ち、その日常の作業と経験を少しずつ積み重ねてください。きっと役立にたちます」と話した。

 原田さんは「子ども・若者が日本や自分の住んでいる地域へ主体的に関心を持つ社会を目指し」て、出前授業や講演に駆け回る日々。生徒たちに問いかけ、いろいろな意見や答を受け止める。やりとりは具体的。ユーモアを交え、笑いを引き出しながら、政治を身近な風景に引き寄せた。

 生徒たちも敏感に反応していた。授業の評価をたずねたアンケートでは、「満足」「やや満足」が計92%に上った。授業前に政治に「関心がなかった」「あまりなかった」は計58%だったが、この授業を受けて「変わった」と答えた生徒が88%に達し、授業の前と後が大きく変わった。「思っていたよりも身近に政治が関わっていた」「中学生も政治に関わっていることがわかった」などの感想が続いていた。
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