東久留米市氷川台自治会に総務大臣賞 平成28年度ふるさとづくり大賞

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2017年2月8日

表彰状(クリックで拡大)

 総務省主催の「平成28年度ふるさとづくり大賞」表彰式が2月4日(土)、東京都千代田区平河町の都市センターホテルで開催され、東久留米市「氷川台自治会」に団体・総務大臣賞が授与された。空き家・空き地を地域の資源として活用し、温かいふれあいのあるコミュニティをつくる長年の取り組みが評価された。同自治会代表の殿田俊三さんに、これまでの活動を振り返った報告を寄稿してもらった。(編集部)

 

 今年度の「ふるさとづくり大賞」は、各都道府県から107事例が総務省に推薦され「ふるさとづくり懇談会」で厳正な審査を経て25団体・5名が表彰を受けた。ふるさとづくり大賞は、全国各地で、それぞれの心をよせる地域「ふるさと」をより良くしようと頑張る団体、個人を表彰することにより、ふるさとづくりへの情熱や思いを高め、豊かで活力ある地域社会の構築を図ることを目的に、昭和58年(1983年)度に創設され、今回で34回目。これまで1,004団体・個人が受賞している。

 

表彰式。スクリーン画像は氷川台自治会の活動写真。表彰者は冨樫博之政務官

 

1. 氷川台自治会の立地と現状

 氷川台自治会の一帯は、東久留米市北東部に位置し、昭和31年(1956年)に西武鉄道が開発分譲した。区画整理された道路脇に戸建て住宅が整然と並んだ典型的な郊外住宅地。地域づくりに取り組み始めたのは平成22年(2010年)ごろからだったが、当時は都心から移住した子育て世代が80歳を超え、子どもたちは独立して都心に住み、高齢化率は37%を超えていた。

 駅から徒歩10~15分圏内でありながら、公共交通機関(公共バス等)がなく、しかも高台に位置するため、高齢者には住みにくい地域となっていた。また、高齢者夫婦には広すぎる家屋を持て余し、優れた住環境より利便性を求めて駅近辺のマンション等へ引っ越す人もでて、活力のない住みにくい地域となっていた。地域の空き家・空き地の増加は、災害時における被害の拡大や犯罪の温床になる危険性、ごみの投棄による衛生上の問題、空き家放置による環境の悪化も招き、住宅地の評価を下げていた。

 

2. 活性化へ向けたさまざまな取組み

 

表彰記念「盾」(クリックで拡大)

 平成23年(2011年)に自治会の現状認識・課題抽出・解決への方策をたて、‟安心・安全で暮らしやすいまち「氷川台」、元気で明るい自治会をみんなでつくろう!”のスローガンを掲げて、今日までさまざまな取り組みを実施している。現在355世帯(1,000人強)の会員で自治会を構成し、加入率97%強となっている。

 昨年は、新たに会員の懇親と健康増進に「ハイキング会」が発足、一人暮らし世帯や高齢者世帯の食の応援に「サンドウイッチ販売会」も開始した。

 現在の自治会の活動は、資源ごみ集団回収・青空野菜市・焼き菓子販売会・サンドウイッチ販売会・ふれあいサロン・子育てサロン・マージャン教室・パソコン教室・うどん打ち教室・ラジオ体操の会・健康体操教室・ハイキング会・ゴルフ同好会・氷川台農園農夫の会・ジャガイモ掘り大会・サツマイモ掘り大会・餅つき大会・夕涼み会や春の防災訓練と秋の要援護者支援避難訓練など年間を通して実施されている。これらの活動は、スローガンを構成する“安心・安全・暮らし・元気・明るい・活力・みんな・つくる”の言葉ひとつひとつにつながり、参加会員の「支え合い・助け合い」で自主的に運営実施されている。

 

安心・安全な氷川台を支える災害時支援隊員(56名で組織)

 イベント参加者は10人前後から200名を超えるものまであり、それぞれが生活空間「住環境改善及び安全・安心対策」・会員の意識「協働意識向上及び自治会活性化」・高齢化社会「災害弱者支援及び高齢者対策」を意識したものであり、活動は多岐に渡りながらも脈絡を強く意識した総合力が氷川台自治会の持つ独自性であり強みである。会員はそれぞれ自分の趣味趣向や生活リズムに合わせて参加して楽しんでいる。また、参加イベントを通して会員同士が顔を知り“温かいふれあいのあるコミュニティ”をつくっている。

 

3. 空き家・空き地を地域の資源として活用

 特に生活空間「住環境改善及び安全・安心対策」・会員の意識「協働意識向上及び自治会活性化」に大きな障害となる「空き家・空き地」に対して住民全体で問題意識を持ち、平成23年から持ち主から借り受けて、空き家の庭を農園につくり替え整備した。

 

空き地を利用した農園(氷川台第2農園)でのジャガイモ掘り大会

空き家の軒先を利用した青空野菜市

 

 さらに農園で育てた20種以上の野菜を無人販売したり、空き家の軒先を利用した青空野菜市を開いたりしている。農園では季節ごとのイベントをおこなっており、春にはジャガイモ掘り大会、秋にはさつま芋掘り大会等の芋ほりイベントを行っている。空き家の庭や空き地を利用した農園は、高齢者から子どもまで幅広い層の「ふれあいの場」となっている。農園に集まる住民、芋ほりイベントに集まる親子の交流などで“住民同士の顔が見え、笑顔と挨拶が飛び交うまち”に変わってきた。また、空き家・空き地の利活用は防災防犯活動の側面や住環境の改善、自治会加入率の増加、高齢化率の減少効果をもたらし地域が活性化している。
(殿田俊三)(写真はいずれも筆者提供)

 

【関連リンク】
・平成28年度ふるさとづくり大賞受賞者の決定及び表彰式の開催(総務省

 

【筆者略歴】
殿田俊三(とのだ・しゅんぞう)
 1947年生まれ、広島県安芸高田市出身。1983年から氷川台に住み現在に至る。1970年から39年間のサラリーマン生活を送り、2010年から輪番制で回って来た自治会役員(会長)に就任した。1年間の活動で地域コミュニティの衰退に危機感を覚え、2011年から自ら先頭に立って協力者を募り、地域の活性化へ向けたさまざまな活動を展開している。

 

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