◎過去にあった話は今もある。残念ながら、至る所に  北嶋孝(ひばりタイムス編集長)

 自分たちに不都合な「事実」が現れると、理屈を駆使して「なかった」ことにする。事実の「記録」はときに削除し、ときに「見当たらなかった」となる。最近、よく見聞する不祥事を思い浮かべるけれども、東日本大震災、とりわけ東京電力の福島第一原子力発電所の事故と被害は当時もいまも、そんな事例が至る所に露出している。本書を読んで、あらためてそういう思いを深くした。