完璧なプラトニック・ラブストーリー by 墨威宏

 恋愛小説限定で読書会を開いているという友人から「お勧めの恋愛小説、ないですか」と聞かれたことがある。私は浅田次郎の『ラブ・レター』と即答した。浅田次郎がいけなかったのか、「どんな話?」とも「面白いの?」とも聞かれず、「へえ」とだけ。本当は聞いてほしかったのだけれど。今でも恋愛小説の「推し」は『ラブ・レター』だと思っている。この文章を書くために再読したら、また涙腺が緩んでしまった。(写真は、『ラブ・レター』収録の『鉄道員』。右はCDブック)

『はじまりは愛着から』

佐々木正美著『はじまりは愛着から』

子どもに関わるときに誰でもやさしい大人になれる by 石田裕子

 何年か前に、生協の申し込みリストで見つけた児童精神科医、佐々木正美先生の本。 子育て真っただ中の時に、『子どもへのまなざし』という本を読んでいたことを思い出した。自分の子どもたちは、もうすっかり大人になってしまったけれど、「人を信じ、自分を信じる子どもに」という副題に、目が離せなくなり、思わず申し込みをした。

悪童日記

写真は、アゴタ・クリストフ著『悪童日記』。手前が現在入手出来る文庫版

事実を書きとめる乾いた書法 by 北嶋 孝

「一冊」シリーズの企画が提案されたとき、取り上げる候補作はすぐに何冊か思い浮かんだ。絶版になって忘れ去られる書物が多い中で、『悪童日記』の文庫版はいまも書店で見かける。現役の本なので取り上げるのに躊躇はなかった。

『土と内臓』

『土と内臓』と知人の自然農園で収穫した黒田五寸人参

見えなくても大切なもの by 道下良司

 

 人体の皮膚が切り取られ、内臓が見えている表紙のイラスト、どこか怖い印象をうける。「土と内臓」という書名も内容が連想できず、不気味さを感じる。率直な第一印象だ。

【書評】

◎記者が書き継いだ「生きる意志」
 片岡義博

 がんで余命を宣告された記者が、生と死の境を見つめた文化人たちの言葉を通して、いのちについて考える記事を新聞に連載した。本書は58歳で他界した記者の最後の仕事となった連載コラムを書籍化したものだ。

藤井誠二著『黙秘の壁』

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【書評】

「法律」と「正義」の狭間  野洲修(西東京市在住)

 弁護士は何のために存在するのか――。読み進めながら、モヤモヤした気持ちは大きくなるばかりだった。加害者の罪を知りながら、刑を軽くするべく後押しする。黙秘権を始め、法知識を総動員して加害者の罪をなかったことにし、犯罪被害者を苦しめる。そんな、「正義の味方」とは正反対の弁護士がいるらしいと知り、憤りがおさまらない。

◎過去にあった話は今もある。残念ながら、至る所に  北嶋孝(ひばりタイムス編集長)

 自分たちに不都合な「事実」が現れると、理屈を駆使して「なかった」ことにする。事実の「記録」はときに削除し、ときに「見当たらなかった」となる。最近、よく見聞する不祥事を思い浮かべるけれども、東日本大震災、とりわけ東京電力の福島第一原子力発電所の事故と被害は当時もいまも、そんな事例が至る所に露出している。本書を読んで、あらためてそういう思いを深くした。

【書評】
演技をめぐる冒険の軌跡
片岡義博

 「いい演技とは何か」「どうすればいい演技ができるか」について、これまで数多くの俳優や演出家が考え、論じ、記してきた。本書は現代演劇の先端を担ってきた演出家の、いわば演技をめぐる冒険の記録だ。その試行錯誤の軌跡は、私たちに「人が演技すること」の難しさ、奥深さ、面白さを教えてくれる。

◎怒りのメカニズムから赦し効果までも明らかに 

 石川慶子(広報コンサルタント)
 

 本著は、怒りや謝罪について科学的にアプローチした意欲的な内容で、個人の怒りを鎮める方法や効果的な謝罪とはどのようなものか、ということを実験調査による研究に基づいて解説している。

【書評】

西東京市近隣から消えた駅は?
野洲 修(西東京市在住)
 

 プロ野球・東京ヤクルトの愛称「スワローズ」が、鳥のツバメを指すことは良く知られている。戦後まもなく、国鉄球団として発足した当時の看板列車、特急「つばめ」号にちなむ。では、球団草創期の本拠地球場がどこにあったかご存じだろうか。

新聞・雑誌の生き残る道はどこに
野洲 修(西東京市在住)

 著者は、日本を代表する経済誌のウェブ版編集長。紙媒体の職場からウェブに転じ、多くの読者を獲得してきた実績を持つ。その経験を基に、紙媒体中心のメディアがウェブで稼ぐ道筋を考えたのが本書だ。

【書評】

殺害に成功したが、事件の隠蔽には失敗した
野洲 修(西東京市在住)

 金正男氏は言うまでもなく、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の兄である。今年2月13日、大勢の人々が行きかう白昼のマレーシア・クアラルンプール国際空港で暗殺された。本書は、9か月たった今なお謎が多いこの事件を、現地に駐在する新聞記者たちが丹念に追った記録だ。

【書評】

完全試合第2号投手武智文雄の知られざる生涯
野洲 修(西東京市在住)

 完全試合。野球の投手にとって、大きな目標である。何しろ、走者を1人も出さずに9イニングを投げ切って勝つのだから。80年を超す日本のプロ野球で、達成したのはわずか15人。ここ23年間は記録されていない。

【書評】

たくましく生きる人々の貴重な記録
野洲修(西東京市在住)

 英国ロンドン東部のスラム街で1950年代、修道院に所属する助産師として働いた女性が、当時を振り返った実話である。2002年に英国で出版され、12年には国内ノンフィクション分野で最も多く読まれたという。

【書評】 宮本剛宏著『介護危機』 鏡諭編著者『介護保険制度の強さと脆さ』 師岡武男(評論家)

 私はいま西東京市に住んで老々介護の生活をしている。今年になって出版された介護関係の二冊の本『介護危機』(宮本剛宏著)『介護保険制度の強さと脆さ』(鏡諭編著)を読んだ感想を書いてみた。