多世代が集まるみんなのおうち 「ぷちコミュニティハウスとびら」がオープン
自分の住む近くに、気軽に寄り合えるスペースをつくる-。そんな動きが増えてきました。仕切役は公民さまざま。狙いや役割も変化に富み、集まる住民の年代も幅広い。東久留米市に生まれたコミュニティハウスを、同市在住の渡邉篤子さんが訪れた報告です。(編集部)
オープン記念イベント「とびらマルシェ」
マルシェの開始時間に合わせて住宅街を歩いていると、朗らかな笑い声が微かな風に乗って聞こえてきた。角を曲がると鮮やかなブルーのポスターが見えた。
「ぷちコミュニティハウスとびら」(東久留米市幸町)のオープンを記念して、9月11日午前11時から「とびらマルシェ」が開かれた。住宅街にある3階建ての一軒家。1階には「だがしやかなん」がある。新たにオープンしたのは建物の2階部分だ。
店先には既にキッチンカーやコーヒー屋さん、クレープ屋さんが準備を整えていた。
「オープンおめでとうございます」と次々に来場する人を、オーナーの山永和子さんが笑顔と元気な声で迎えている。高揚する雰囲気だ。
2階にオープンした「サロン」を見学した。
ブルー色に塗られた手すりがある階段を上るときれいなブルー色の扉。水の中に吸い込まれるような色だ。中に何があるのか、ワクワクする。
落ち着いたエントランスは心安まる優しい白が基調となっている。「壁、廊下、トイレまで内装は友人が手を貸してくれた」と嬉しそうに山永さんが説明した。
サロンはカーテンを閉め、落ち着いた明るさ。
「ちふみんのプチサロン」「耳つぼlove_eggs」「よもぎ蒸しサロンほっか」の3店が出店している。既に施術を受けている人が2人いた。予約票を見るとあらかた埋まっていて、人気の程を伺わせる。赤ちゃんを抱いた2人の女性は「近くでこんなリラックスできる場所ができて嬉しい」「順番を待つ間に1階のワークショップをみます」と楽しそうに話した。
「ちふみんのプチサロン」でリフレクソロジーの施術を受けた町田奈緒美さんに話を聞いた。「入間市から車で来ました。幼稚園が休みだったので子供連れで来たが、施術中も子供の相手をしてくれる人がいて、安心感があった。日頃忙しいので、なかなかリラックスする時間が取れないが、これからも通いたい。とても足取りが軽くなった」と満足げに話した。
1階の駄菓子屋店内では、可愛い雑貨を作るワークショップが2店。駄菓子屋の営業日でない日はレンタルスペースとなる。気軽な気持ちでワークショップ開催などに一歩踏み出せそうなスペースだ。
昼時になると店先のスペースは休憩する人でいっぱい。タイ料理の「カオマンガイ」、クレープなどで思い思いに昼ご飯。相席した人と話が弾む。
この日だけで、およそ90人の来場があった。
「ママにうれしいシステム」とパンフレットに書かれている。
「起業」というと少しハードルが高いが、自分の得意な事を活かした活動をしたい、子育て中でも少しずつ仕事がしたい、という人を後押ししたい、子どもの集まる駄菓子屋にプラスして、大人も「あそび・まなび」ができる場を提供していくことが「とびら」オープンの目的、と山永さんは語った。
ターコイズブルー
ターコイズブルーは12月の誕生石トルコ石の色。グリーンとブルーの間の色だ。
8月中から「とびらマルシェ&まつり」というチラシやポスターを東久留米市内のあちこちで見かけた。チラシスタンドでも、店先の棚の上でも、このターコイズブルーが目に飛び込んできた。
階段、扉、パンフレット、スタッフの服装までターコイズブルーが取り入れられている。カラーセラピストでもある山永さんに、なぜこの色をテーマカラーにしたのか尋ねた。
「カラーセラピー(色彩療法)の分野では、ターコイズブルーは『1対多』のコミュニケーションの色なので、人が集まるには最適なカラー。グリーンとブルーの間の色なので、ハートからのコミュニケーションという意味も持っている。『ぷちコミュニティハウスとびら』のテーマカラーはこれしかない!と決めた」と答えが返ってきた。
「社名の『To・Bi・Ra』は、かつてやっていた『お話のとびら』という活動を継承する思いをこめて命名した。『だがしやかなん』の『かなん』も、11年続けている中学校でのボランティア活動でのニックネーム。相談にのった子どもが、成人して、何か困った時に、『かなん、ってもしかして…』と探してくれることもあるのではないか、と考えて付けた。子どもの時だけではなく、その先も見守れるようにしたい」と語った。
新たにオープンしたスペースは、山永さんのソーシャルワーカーとしての相談業務のためにも使われる。パンフレットに書かれている「多世代が集まるみんなのおうち」は、誰にとっても心の張りを緩めることのできる「実家って感じかな?」と微笑んだ。
(渡邉篤子)(写真は筆者提供)
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