昭和30年代の結婚式を再現 小平ふるさと村の古民家で挙式
結婚式を昭和30年代のスタイルで挙げる「昭和の結婚式」が11月3日、古民家園「小平ふるさと村」(小平市天神町3丁目)で執り行われた。親族や仲人とともに多くの来園者が新郎新婦の門出を祝った。
小平では昭和30年代まで結婚式は自宅で挙げるのが一般的だったが、結婚式場の普及に伴って自宅婚は次第に姿を消していった。地元に伝わる婚礼文化を後世に残そうと、小平市文化振興財団が小平郷土研究会などの協力を得て、当時を知る人々に聴き取り調査を実施。2012年から毎年「文化の日」に、公募で選んだ1組の結婚式を当時の形式で挙げ、来園者に公開してきた。
秋晴れのもと、黒紋付の新郎と白無垢の新婦が小平グリーンロードを歩いて小平ふるさと村に到着すると、来園者から祝福の拍手で迎えられた。
まず、花嫁が男児と女児が持つ藁束をまたいで婚家に入る「火またぎの儀」が行われた。藁束のいぶし出した煙で狐に化けた花嫁かどうかを確かめる意味があったとも伝えられている。
婚礼の場は江戸時代の農家を復元した「旧神山家住宅主屋」。相伴当と呼ばれる司会役は落語家の三遊亭兼太郎さんが務め、小林正則・小平市長も列席した。仲人が座敷の上座、両家の親族らが向かい合わせに座り、新郎新婦もその中ほどで対座した。
桜湯がふるまわれた後、冷酒の盃を回して親族の「固めの盃」。次に「雄蝶」「雌蝶」と呼ばれる男児と女児が三段重ね組杯に冷酒を注ぎ、花婿と花嫁が3度ずつ盃を受ける「三三九度の盃」の儀式が行われた。式を終えた後の宴席では謡曲「高砂」、獅子舞と郷土芸能の鈴木ばやしが披露された。
式を挙げたのは、小平市に住む猿渡大介さんと胡桃さん。「参列者との距離が近い温かい結婚式を挙げたい」と今回の企画に申し込んだという。今年6月に誕生した長男拓己君も席に加わった。
大介さんは最後に「豊かな自然に一目ぼれしてこの小平に移り住み、想像もしなかった素敵な結婚式を挙げることができました。この小平の地で温かい家庭を築き上げたいと思います」とあいさつした。
(片岡義博)
【関連サイト】
・昭和の結婚式(小平ふるさと村)
【筆者略歴】
片岡義博(かたおか・よしひろ)
1962年生まれ。共同通信社記者から2007年フリーに。小平市在住。嘉悦大学非常勤講師(現代社会とメディア)。