「自由学園みらいかん」にグッドデザイン賞 11月25日に一般公開

投稿者: カテゴリー: 子育て・教育環境・災害 オン 2018年11月9日

育てた木材をふんだんに使った自由学園みらいかん

 東久留米市の学校法人自由学園の木造施設「自由学園みらいかん」が、日本の総合的なデザイン賞として知られるグッドデザイン賞を受賞した。東京・六本木の東京ミッドタウンで10月31日から11月4日まで開かれた2018年度の受賞展にパネルを展示。この受賞にちなみ、11月25日に一般公開する。

 受賞対象となった「自由学園みらいかん」は昨年12月に竣工した木造2階建て、延べ床面積353 ㎡の建物。正面はヒノキ材が並び、屋根までそびえ立つように見える。内部の床も壁も天井も、いすやテーブルなども木材を使っている。三重県の海山(みやま)(現・紀北町)と埼玉県の名栗(飯能市)の植林地で、学園の学生や生徒たちが代々育てたヒノキだった。

 

玄関入り口に、植林活動などのパネルが掲示されている(クリックで拡大)

 

 自由学園は、羽仁もと子・羽仁吉一夫妻によって設立された。館内に掲げられた表示板に「植林の開始当初、創立者は『将来この木で校舎を建てよう』と夢を語っています。…半世紀以上を経て、夢が「みらい」に繋がりました」と書かれている。

 

夢が叶った「みらいかん」の経緯を記す

 

 この点は審査委員のコメントで注目され、「教育の一貫として植林活動で育てられてきた木材を適材適所用いて作られている」と高く評価された。

 創立時の自由学園の校舎「明日館」(重要文化財:豊島区西池袋)は有名な米国の建築家フランク・ロイド・ライト氏が設計した。現在の自由学園(東久留米市)の校舎は、ライト氏の弟子である遠藤新、遠藤楽父子により設計され、5棟の建物が「東京都選定歴史的建造物」に指定されている。

 「みらいかん」の設計を手掛けたのは松井亮建築都市設計事務所。ライト氏・遠藤両氏の校舎群とも調和するようデザインが研究され、周囲の環境にも配慮して設計されている。学園広報本部の椚田結子さんは「子どもたちがヒノキの香りに満ちた『みらいかん』で落ち着いて過ごすことにより、感性も豊かに育まれることを願っています」と話している。

 コメントはこれらの点も評価。「木材の使用方法、表現方法が家具から建築まで、とても細やかで、その細部まで行き渡った設計の精神はフランク・ロイド・ライトの精神にも通じると」と指摘。「ファサード(正面)の格子材はあえて更新周期を考えながら設計されており、循環していくことそのものをデザインしている」と述べている。

 

階段は安全に配慮

2階はプレイルーム

 

 「みらいかん」の1階ホールは、自由学園の幼稚園「幼児生活団」の子どもたちの預かり保育に利用されるほか、2歳~3歳の未就園児と保護者らの集まり「ことりぐみ」も使う。2階のプレイルームは学園初等部のJIYUアフタースクールの子どもたちが放課後に利用。「多目的な子どもの施設を目指している」という。

 11月25日(日)の一般公開は午前10時から午後3時まで。「みらいかん」は東京都東久留米市学園町1-9-16。西武池袋線ひばりヶ丘駅南口から徒歩約8分。希望者は学園ホームページの>>予約フォームから申し込む。
 詳細は「自由学園みらいかん 一般公開日」(自由学園)のページを参照。

 グッドデザイン賞は1957年に創設。日本を代表するグラフィックデザイナー亀倉雄策氏が手掛けた「Gマーク」とともに広く親しまれ、デザインによって暮らしや社会をよりよくすることを掲げて「日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組み」(グッドデザイン賞HP)という。暮らしに身近な製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなどに毎年贈られてきた。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・2018年度グッドデザイン賞受賞 教育施設 [自由学園みらいかん](日本デザイン振興会
・「自由学園みらいかん」が 2018年度グッドデザイン賞を受賞(自由学園

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「自由学園みらいかん」にグッドデザイン賞 11月25日に一般公開」への1件のフィードバック

  1. 1

    とても丁寧に扱っていただきありがとうございました。
    自由学園長 高橋和也

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