歌って楽しく防犯ライブ! ロック音楽で「特殊詐欺にご用心!」
特殊詐欺の被害を防ごうと、女性4人のロックバンド「ボンボンロール」が西東京市内で「防犯ライブ」活動を続けている。1年半余りで計23回。6月初めに開かれたライブを見に行ったら、集まった高齢者が歌と演奏に合わせて手拍子を取ったり歓声を挙げたり、楽しく元気に、詐欺防止の心得を胸に収めていた。
ライブに立ち会ったのは、保谷第二小学校通学区域の住民懇談会「ほにほに」が主催する「シルバー交流昼食会」だった。会場は市内の東伏見コミュニティセンター。市社会福祉協議会が続けている「ふれあいまちづくり」活動の一環で、ほぼ年2回の割合で開き、6月8日の会合が33回目になる。
演奏は、昼食会が終わった午後1時過ぎから始まった。ブルーとピンクのアフロを被ったボーカルの2人がギターとパーカッションとともに登場。「ボンボンロールでーす。ボーカルの2人は双子です。父親がアメリカ人です。ギターは妹のサリー、パーカッションはノースダコタ州に住んでいる従姉妹…」などと切り出した。派手な衣装に似つかわしい?ちょっと怪しげな口上が笑いを呼んだ。
間もなく「受話器を置いて」「だまされないで」などのオリジナル曲をノリのよい演奏で聞かせる。ファッションと違って、こちらはストレートなメッセージソング。「受話器を置いて」に、こんな一節が出てくる。
突然なる電話のベル トゥットゥトゥルルルルー
「ハーイもしもし」「オレだよ、オレ」
あー 悪い知らせ 悪い予感
受話器を置いて そっともどして 受話器を置いて そっともどして
最後のフレーズを何度も繰り返す。ほかに「だまされないで」「還付金、それは幻」などの曲も、目的とターゲットがはっきりしている。「最近多いのは架空請求やカード預かり詐欺です」「怪しいと思ったら受話器を置く。ためらわずに110番」…。軽妙な語りを交え、詐欺に遭わないノウハウを繰り返していた。
そのほか「上を向いて歩こう」「星降る街角」なども演奏した。多くの参加者は、呼び掛けに応えて、手を挙げたり振ったり。前列にいたスタッフの牧師さんも引き込まれ、アフロとサングラス姿でマラカスを手に演奏に仲間入り。34人の参加者とスタッフを合わせると50人余りが、ともに盛り上がって40分ほどのライブを終えた。
市内のデイサービスセンターに通うお年寄り約10人が見学にやって来て、顔をほころばせながら聞いていた。
ボーカルの「ブルー」として、歌ったり呼び掛けたりしたのは、市内柳沢在住の神崎浩子さん(55)。素顔の神崎さんは、実は9年目を迎えるベテランの民生委員。市内の高齢者が1500万円もの詐欺被害に遭ったと聞き、地域の実情を知るだけに危機感が募った。「防犯講座に出て警察の方のお話を聞いても、高齢の皆さんにはなかなか飲み込んでいただけない。たまたま私が音楽好きでバンドに参加していたので、歌と演奏で詐欺被害の危険を伝えられないかと思いました」。メンバーに相談したら、「あなたが曲を作ったら、編曲するわよ」。防犯ライブに踏み出すきっかけになった。
「娘が使っていたドラムセットがあったので、5年前からここのセンターにある音楽室でドラムを始めました。メンバーとはそこで知り合いました。本体のバンドより、ボンボンロールの活動が最近は多いかな。家族も応援してくれます」
2017年10月、市内の高齢者センターで「防犯ライブ」を初披露。それ以来、福祉関係者が後押し。田無署も協力し、参加者、体験者の口コミも広がって出番が多くなった。「今回が23回目。今年になって6回目です。マイクやスタンドも自前で揃えてます。声が掛かったら、どこにでも出掛けますよ」
昼食会を主催した住民懇談会「ほにほに」の代表世話人、青山恭彦さんは「神崎さんも懇談会のメンバーです。『ボンボンロール』はユニークなスタイルで頑張っていますね。参加した皆さんも楽しんでました」と感謝していた。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・ボンボンロール(facebook)
・ボンボンロール(twitter)
- 情報欄も4月以降の更新停止 - 2024年3月24日
- 『北多摩戦後クロニクル』3月19日発売 「ひばりタイムス」連載記事を書籍化 - 2024年3月8日
- 東京新聞が「ひばりタイムスの10年」紹介 メディアに掲載されたひばりタイムスの活動は… - 2024年2月27日
ボンボンロールの活動、素晴らしいですね。
多くの人に「受話器を置いて」「還付金、それは幻」と歌って欲しいです。
広めましょう。