吹奏楽部員、がんばれ! ルネこだいらがプロの演奏を無料配信
「吹奏楽のまち こだいら」を掲げる小平市のルネこだいら(小平市民文化会館)は、休校やイベントの中止で演奏会や合同練習ができない地元の吹奏楽部員を元気づけようと、プロの吹奏楽団が演奏したコンクール課題曲をスマホアプリで無料配信するプロジェクトを企画し、3月20日に事前収録を終えた。自宅でプロの演奏を聴き、心新たに練習に取り組んでほしいとの思いを込めた試みだ。(写真は、大ホールでコンクール課題曲を演奏する東京吹奏楽団)
ルネこだいらは数年前からホールの中核企画として演奏会や公開リハーサルといった形で吹奏楽に関わるプログラムを充実させてきた。新型コロナウイルス感染防止のため3月の主催・共催公演を取り止めたが、3月25〜31日の「ルネこだいら吹奏楽フェスティバル」の中止は市内8校の中学・高校吹奏楽部の定期演奏会で卒業公演でもあっただけに苦渋の決断だった。
この時期、吹奏楽部員たちは夏に開催される「全日本吹奏楽コンクール」の地区大会に向けて練習に打ち込む。部活動休止のため自宅で練習を続ける彼らの力になれないか。ルネこだいらを運営する小平市文化振興財団は、コンクールという未来の目標を見据えて前向きな気持を持てるよう、現在空いているホールでプロが演奏する課題曲を届ける企画を発案。演奏会や中高生への演奏指導「管弦楽クリニック」で関わりの深い東京吹奏楽団に打診したところ、相次ぐホールの閉鎖で演奏を収録できる会場を探していた同楽団の快諾を得た。
収録は午後1時から大ホールで始まった。「トイズ・パレード」「龍潭譚」など3分半〜5分間の課題曲4曲の通し演奏でホールはブラスのエネルギッシュな音に満たされた。練習に励む吹奏楽部員に向けて曲ごとのワンポイントアドバイスも加えた。
コンサートマスターの粟生田直樹さんも中学校の吹奏楽部でクラリネットに出会った。「(部活休止で)演奏する機会は減っても音楽を聴いて楽譜と向き合うことも大事。私たちの演奏が少しでもヒントになれば」。オーボエの川内優子さんは「今日久々に集まって音を出した時、音楽をやっていて本当によかったと思った。我慢しているぶん、再会したときはうれしい。それを楽しみにして練習してほしい」と語った。
演奏は地元ケーブルテレビのジェイコム東京(J:COM)が提供する地域情報アプリ「ど・ろーかる」で3月末から無料で配信する予定。
(片岡義博)
【関連情報】
・ルネこだいら(HP)
・地域情報アプリ「ど・ろーかる」(MY J:COM)
・東京吹奏楽団(HP)
【筆者略歴】
片岡義博(かたおか・よしひろ)
1962年生まれ。共同通信社文化部記者として演劇、論壇などを担当。2007年フリーに。2009年から全国52新聞社と共同通信のウェブサイト「47NEWS」で「新刊レビュー」を連載。著書に『文章のそうじ術』(言視舎)など。小平市在住。
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