「7日間ブックカバーチャレンジ📚」ー 外出自粛生活を楽しむ

投稿者: カテゴリー: 文化 オン 2020年5月10日

梨木香歩著「雪と珊瑚と」(ブックカバーチャレンジ参加者S.I.さん撮影)

 家で過ごす時間が増えましたね。読者のみなさまはどのようにお過ごしですか? 整理整頓、DIY、家族と料理、舞台や寄席のネット鑑賞、これまで時間がとれなくて出来なかったことを始めた方も多いのでは? 私はというと…。

 

なんだか楽しそう

 

 先月友人から「7日間ブックカバーチャレンジ」なるものが回ってきた。趣旨は読書文化の普及に貢献するためのチャレンジとのことだ。ルールは ①好きな本を1日1冊選び本についての説明はナシで表紙画像をFacebookへ7日間アップを続ける ②その際毎日1人のFB友達を招待しこのチャレンジへの参加をお願いする。

 同様のものでは「10日間CD・レコードジャケットチャレンジ」「3日間自作作品&コレクションを住まいの空間で撮影してアップ」「お料理アップ」「お茶時間の画像をアップ」「映画」「花バトン」「孫の写真」ときりがない。すごい勢いでチャレンジが増えている。これってチェ―ンメール? ネズミなんちゃら…ですか。

 あまり深く考えずに参加することにした。本好きとしては単なるおせっかいだが紹介したい本も多数あるし、友人らがどんな本を読んでいて何に興味をもっているかも気になる。なんだか楽しそうだし。

 

マイルールと事前打診

 

 はじめるにあたり一番引っかかるのは次の人を指名するというルールだ。忠実にこのルールを皆が守れば1カ月で3.5億人が巻き込まれるという計算をした友人までいたほどだ。投稿を見ていたら ③ スルー(招待を受けないこと)OK & 次の人を指名するかどうかは気分次第で、というルールが追加されていたので採り入れた。

 チャレンジに招待する場合は事前に問い合わせることにした。「ちょっと今は忙しいので」「この類はやらない主義なので」と複数の友人に断られたが、はっきり言ってもらえてありがたかった。

 

多彩な選び方

 

 楽しく本が紹介しあえるならルールを変えるのもありだろう。すでにマイルールでチャレンジをつないでいる例が多数あった。本の説明をがっつりつける紹介者あり、7日間続けず間をあける投稿あり、完走しないケースもあった。1冊に限定せず関連本も含めて複数冊紹介する人、7冊まとめて投稿し一日でチャレンジをクリアしてしまう効率タイプもいた。

 

ダイアン・アッカーマン著、古草 秀子訳「庭仕事の喜び」(ブックカバーチャレンジ参加者N.K.さん撮影)

 

 選書の基準も、内容が良かったので、表紙で選んだ、料理本や鉄道などの趣味、ルネッサンスなどテーマつながり、家族との思い出、これから読んでみたいと思って、大切な人や友人からもらった本、など、これまた多彩である。

 

懐かしい本にも巡り合えた

 

 投稿には、来し方を振り返ったエピソードあり、本にまつわる思い出ありで、読んでいて飽きない。今までよく知っていたと思っていた友人らの新しい面を発見したり、その本を紹介してくれた人となりを知るといった楽しみもあった。写真の撮り方、載せ方にも個性が表れ、細部に凝った投稿も楽しい。

 このチャレンジ、投稿数が増えるということを除けば、誰かにひどく迷惑をかけたり、嫌な思いをさせる類ではない。懐かしい本にも再び巡り合えてうれしかった。唯一の難点は、読みたい本が爆発的に増えて我が家の「積読本」が減る兆候は一向にみられないことくらいだ。ブックカバーチャレンジ楽しかった。それだけだ。

 

生活を楽しんでいますか?

 最後に友人らの感想を承諾を得たので掲載したい。

 「このチャレンジへのご招待は、つながっているけれど最近は中々会えていない人にお願いしよう、と思いました。お久しぶりの方に連絡を取るのは、楽しくもありドキドキもあり、でもいいきっかけになりました」(C.S.さん)

 「『食』と『生』をテーマとしたこの物語を通して、このようなきらきらした繋がりが舞い降りて、こうして日々の「生きていく力」を手渡してもらったこと ─ 梨木香歩作品の読者として、ほんとうに、これ以上の幸せはありません。愛する本たちの手ざわりや自分との関わりをもう一度たしかめるきっかけをくださり、本当にありがとうございました。」(S.I.さん)

 出かけられない不自由さ、閉塞感に息が詰まりそうになるが、みなさんはどのように外出自粛生活を楽しんでいますか?
(卯野右子)

 

【筆者紹介本】(2020.4.20 – 4.27)
【1日目】「モモ」ミヒャエル・エンデ 大島かおり訳 岩波書店 2001年愛蔵版
【2日目】「海からの贈物」アン・モロウ・リンドバーグ 新潮文庫 1967年
【3日目】「星野道夫の旅」没後20年特別展 朝日新聞社 2016年
【4日目】「暮らしの哲学」池田晶子 毎日新聞社 2007年
【5日目】「原寸美術館 画家の手もとに迫る」結城昌子 小学館 2005年
【6日目】「はかれないものをはかる」工藤あゆみ 青幻舎 2018年
【7日目】「禅語」石井ゆかり・文 井上博道・写真 パイインターナショナル 2011年

 

【筆者略歴】
 卯野右子(うの・ゆうこ)
 西東京市新町在住。金融会社勤務。仕事の傍ら「アートみーる」(対話型美術鑑賞ファシリテーター)「みんなの西東京」「放課後カフェ」の活動に参加。東京藝術大学で「アート X 福祉」を履修し、2019年4月より東京都美術館のアート・コミュニケータとして人と美術館をつなぐ活動に携わる。

 

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