「墨花居」が通販でプレミアムシリーズ展開 地域に支えられコロナ自粛期間も奮闘

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス暮らし オン 2020年6月11日

 新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛、営業自粛で各地の飲食店が軒並み影響を受けた。西東京市も変わらない。同時に「新しい営業スタイル」を模索する動きも始まっている。市内田無町の中国家庭料理のレストラン「墨花居」など関連店の試みを、運営母体の「武蔵野テーブル」取締役小西出勇さん(43)に聞いた。

 

営業を再開した中国レストラン「墨花居」(西東京市田無町4丁目)

 

テイクアウトとデリバリー

 

 「いまも大変ですが、当初は先が見えず手探り状態でした」。小西出さんは[2020年]2月、3月のころを振り返ってこう話す。2月から夜の予約キャンセルが目立ち、その後は期待していた歓送迎会が軒並み中止に。やむなく3月半ばから夜の営業時間を短縮し、テイクアウト(持ち帰り)を始めた。4月に入るとディナーを止めてランチだけに。4月末には店舗営業をとうとう休止することになった。

 

新シリーズのメニューを前に、この間の活動を語る「武蔵野テーブル」取締役小西出勇さん

 

 手をこまねいているわけにはいかない。5月の大型連休対策に「特製GWおせち」を売り出した。家族で食卓を囲む姿をイメージし、グループ店の武蔵野食堂とお菓子の武蔵野菓子工房の3業態でのコラボおせちだった。200食の予約注文があっという間に集まった。
 こうしてテイクアウトとデリバリー(配達)に全力を挙げた。

 

地域の励ましが頑張るエネルギーに

 

 「うれしかったのは、配達先の方々の激励でした。大変ねえと慰められ、おいしかったと感謝される。ホントにありがたかった。力をいただきました」。小西出さんは、当時の励ましの声が今も蘇るという。同時に「食に困っている家庭も少なくない。特に子どもたちが大変」と知る。

 店舗も地域の状況と無縁ではない。休校で食事の心配な家庭向けに4月初め「子ども食堂」を始め、1食200円のチャーハンとラーメンを提供。その後あんかけ焼きそばとチャーハンの「子ども弁当」(200円)に切り替えて続けた。5月末の週末から4週連続、墨花居は「あんかけ焼きそば」を1日10食、武蔵野食堂は「ピザ マルゲリータ」を5食、無料提供してきた。

 

地域とつながる、働きかける

 

 墨花居は開店から15年。8年前から店頭で「日曜朝市」を開いてきた。グループ店の武蔵野茶房や武蔵野食堂、それに向かいの武蔵野菓子工房など各店が協力し、地元野菜はじめ、お勧め惣菜やケーキなどを提供。自粛期間中はできなかったが、それまでほぼ毎月続き、地元、近隣の人たちで賑わったきた。そんな「食」を通した縁が、励ましの声につながり、子ども食堂や子ども弁当の提供に結びついたのかもしれない。

 

配達専用車の前に立つ武蔵野テーブル社長の堀内正也さん(右)と取締役の小西出勇さん(左)

 

 店舗営業を休んでも、スタッフの仕事はなくならない。店のホームページやメールマガジンで情報を発信。テイクアウトのメニューを考え、印刷したチラシは4万枚。週末需要を見込んでお店のスタッフが地域のポスティングに歩き回った。注文があれば自転車で届ける。4月末に1人乗りの配達専用車を購入した。ほどなく故障して大活躍とはいかなかったが、配達営業にかける意欲の現れだった。

 

通販で新しい販路開拓

 

 それでもコロナ禍の影響は大きい。「この間の売り上げは平常の2~3割。経営的には痛い」と言う。「平常営業に戻っても以前のようにならないことを覚悟しています」とも付け加えた。今後は「新しい営業スタイル」が求められる。

 いま練っているのが人気メニューを選りすぐったプレミアムシリーズのオンライン販売だ。第1弾は「1年に28日しか提供していない」という秘蔵料理「コラーゲンたっぷり鶏そば」。6月3日発売で、13日までの10日間は特別価格で提供した。第2弾、第3弾も用意している。「地元農家の新鮮野菜を使い、添加物を極力少なく、素材の持つ味わいを大切に」のモットーを生かした料理だという。

プレミアムシリーズ第1弾「コラーゲンたっぷり鶏そば」(武蔵野テーブル提供)

人気の特製「焼チーズケーキ」(武蔵野テーブル提供)

 

 ヒントは、系列店「武蔵野菓子工房」の大躍進にあった。特製の「焼チーズケーキ」(税込み3974円)が通信販売サイトで売れに売れたのだ。通販グルメ、スイーツなどのショッピングサイト「おとりよせネット」で、このチーズケーキはいまも人気ランキング第1位。「注文しても3週間待ち」という。「ケーキだけで前年同月比10数倍の売り上げの時期もありました。経営を支えてもらいました」と話す。

 6月2日からグループ店は営業を再開した。墨花居はディナーも始めた。テイクアウトもデリバリーも続けている。地域の店として営業活動を地道に展開するうえに、ネットで販路開拓に挑む。墨花居や武蔵野菓子工房など武蔵野食堂グループの展開が続く。
(北嶋孝)(提供先のない写真は筆者撮影)

 

【関連情報】
・墨花居(武蔵野テーブル
・お子様向け お昼ご飯を無料提供(武蔵野テーブル
・特製焼チーズケーキ【木箱入】(おとりよせネット
・コラーゲンたっぷり鶏そば(M・dish オンラインショップ

 

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