丸山浩一市長

「これまで以上の責任をとる覚悟」 介護保険料特別徴収などに誤り 丸山市長らが謝罪

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙健康・福祉 オン 2020年8月31日

 西東京市の8月分の介護保険料を年金から天引きする際に処理を誤り、約4万2000人に影響が出た問題について、西東京市の丸山浩一市長は8月28日、西東京市議会第3回定例会の冒頭で経緯を報告し、謝罪した。また生活保護の住宅扶助に認定漏れがあり、1年9ヵ月にわたって支給していなかった問題もお詫び。「一連の不適切な事務執行で重大な誤りを重ねた。弁明の余地はない。適切な時期にしかるべき責任の所在を明らかにする」と述べた。後の質疑で「これまで以上の責任をとらせていただく覚悟だ」とも言明した。(「不適切な事務執行」を報告する丸山市長)

 

頭を下げる丸山市長ら市幹部

お詫びする木村教育長

 

 木村俊二教育長は、先の文教厚生委員会に提出した「西東京市学校施設適正規模・適正配置に関する基本方針(素案)」の文書や、中央図書館・田無公民館耐震改修工事の市民説明会で配布した資料に誤りがあったと報告、陳謝した。その後の遣り取りで「これまで以上の責任を取らせていただく覚悟」と述べた。

 

約4万2000人に影響 追加納付と還付必要

 

 なかでも影響が大きいのは介護保険料天引き処理の誤りだった。市長報告やその後の質疑、緊急質問で経緯や実態が明らかになった。影響を受けるのは、介護保険料が年金から天引き(特別徴収)される約4万5000人のうち、約4万2000人、93%に及ぶ。

 

 本来の保険料より天引き額が少ないため、あらためて追加納付しなければならないのは3万1600人。追加納付額の最多は4万円、最少は100円、平均約1500円だった。このうち1000円以下が2万4000人となり、76%を占める。追加納付の総額は約4600万円になる。

 

 天引き額が多かったため、本人に差額が戻る(還付)人数は約1万400人、総額5700万円に上る。戻る差額の最多は5万6000円、最少は100円、平均5500円となった。このうち1000円以下は2900人、28%だった。

 

なぜ誤ったのか

 

 市側の説明によると、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は2カ月分を年6回に分けて納める仕組み。年金天引きの特別徴収の場合、4月と6月は前年度と同じ額を天引き。前年の所得が確定して介護保険料が6月に決まると、翌7月に被保険者の市民に通知。その保険料を基に8月から差額をならして補正し、10月、12月、2月に分けて徴収することになる。ところが、天引き処理する年金機構に、補正前の6月分のデータを送信したため、8月分は本来の保険料との間に差額が生じた。

 

説明する萩原健康福祉部長

 

 年金機構に送る保険料データはパソコンから操作する。補正済みの8月分のデータを作成していたのに、送信の際に取り違えたという。健康福祉部の萩原直規部長は「作業内容や処理結果を担当者以外、確認する仕組みがなかった。今後はリスクを洗い出し、業務の改定に取り組み、信頼回復に努めたい」と話した。

 

今後の手続きは

 

 市は8月27日、対象者約4万2000人に「お詫び」の文書を発送した。天引き額が多く差額を返す還付対象者には9月末に通知書を発送し、必要な手続きをお願いする。天引き額が少なかった対象者には10月末に納付書を発送して、あらためて金融機関やコンビニなどを通じて差額の納付をお願いすることになる。

 

8月27日付けで市が送った文書(宛先などを特定できる箇所は白塗り)(クリックで拡大)

 

 「今回のミスで生じた差額を、次の天引きの際に処理すれば、いちいち窓口に行く手間が省けるではないか」との質問が議員から出た。萩原部長は「年金機構に問い合わせたが、システム処理上の問題があり出来ないとのことだった」と述べた。「この件に関して専用ダイヤルを設けたので、不明な点は問い合わせていただきたい」と窓口開設を告げた。

 

 この専用ダイヤルの件で、27日付けの文書は番号を明記した上で「振り込め詐欺や還付金詐欺に注意してほしい。市がメールや電話で振込をお願いすることは絶対にない。電話でATMに誘導して操作を頼むこともない」と警戒を呼び掛けている。電話番号は次の通り。

 専用ダイヤル 042-420-2867 高齢者支援課介護保険料係
(平日の午前8時30分~午後5時)

 

責任と審議の行方

 

 遣り取りの中で「不適切な事務執行」が議論の的になった。これまで市の事務上のミスや不手際が度々指摘され、その都度「執行体制の再点検」「信頼回復」が示されてきた。特に昨年9月、同じ「不適切な事務執行」が理由で、市長、副市長、教育長の3人の問責決議が本会議で可決された。下水道事業会計の当初予算説明書の誤りや、教育委員会から不適切な記載のある公文書が議会に提出されたなどの理由だった。丸山市長も「昨年来、議会との信頼関係を損ねた一連の事務執行の不手際に関し、改善の約束をしたのに今回、あらたな不手際が生じた」と重ねて詫びた。

 

 今回の天引き処理のミスは影響が多大だっただけに、対応の費用もかさむ。27日付けの文書発送など当面の経費約303万2000円は当初予算の予備費で賄う方針。その後の対応にかかる580万5000円を、今回提出された一般会計と介護保険特別会計の補正予算案に計上している。対策費は計883万7000円に上る。

 

 生活保護の住宅扶助の認定漏れが1世帯とは言え、1年9ヵ月(21ヵ月)の長期にわたる未支給も明らかになり、あらためて112万7700円を支給するという。教育委員会が文教厚生委員会に提出した文書の誤りは11ヵ所、中央図書館・田無公民館耐震改修工事に関する市民説明会資料には13ヵ所の誤りがあった。

 

 市長や教育長の報告に対し、議員からは「市の誤りから生じた事態の後始末のために、まったく責任のない市民の税金を使うのか」「市民の血税投入は許されない」「議会として審議が出来ない」など厳しい指摘が相次いだ。

 

 これから予算特別委員会がすんなり開かれるのか。審議に入っても多数の賛同を得られるのか。丸山市長、木村教育長がそろって「これまで以上の責任をとる」と言明している。責任のあり方も絡んで、審議の先行きはまだ見通せない。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・令和2年8月分の介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)処理の誤りについて(第3報)(西東京市Web
・令和2年8月分の介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)処理の誤りについて(第2報)(西東京市Web
・令和2年8月分の介護保険料特別徴収(年金からの天引き)処理の誤りについて(西東京市Web
・生活保護受給者への住宅扶助の認定漏れについて(西東京市Web

 

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