地方紙展示展

地方紙が伝えるコロナ禍や震災10年 小平市立図書館で新聞元旦号展

投稿者: カテゴリー: メディア・報道 オン 2021年1月10日

 全国各地の地方新聞の元旦紙面を手に取って読むことができる新年恒例の「第41回ふるさとの新聞元旦号展」が小平市立図書館で開かれている。今年は地方におけるコロナ禍や東日本大震災10年の特集記事が目立った。1月28日まで市内4つの図書館を巡回する。

 

 地方紙面を通じて列島各地の今を知ることができる人気企画。全国のブロック紙、県紙、地域紙約60紙に元旦号の寄贈を依頼し、今年は1月9日時点で52紙が集まった。期間中、新たに到着した元旦号は随時展示に加える。

 

地方紙展示

展示中の新聞

 

 1月1日付けの地方新聞一面は、地域の大型事業の特集記事や連載企画、特ダネ記事、地元にちなむ有名人インタビューなど、各紙とも力を入れた紙面を展開する。

 

 新型コロナウイルス感染拡大については、急増する感染患者に対応するため現場で奔走する医療従事者の姿を追った記事が多かった。北海道新聞の「夜明け信じ医療続ける」、中日新聞の「コロナ病棟 不眠不休」、茨城新聞の「命と向き合う原点に」などだ。

 

元旦紙面

地方のコロナ禍を伝える元旦紙面

 

 西日本新聞の「家族育む新天地」は、在宅勤務を契機に家族とのふれあいの大切さに気づき、転職のうえ福岡県に移住した一家をルポ。コロナ禍による人々の価値観の変化を捉えた。

 

 北陸中日新聞の「県と市町村 情報の壁」は、石川県と富山県が有する感染者や濃厚接触者の名前や住所などの情報が市町村に伝えられないため、迅速な感染対策が打てないと訴える地元自治体の声を伝えている。「個人情報は軽々に出せない」「風評被害や差別につながる恐れも否定できない」とする県側の主張との違いを明らかにした。

 

 北日本新聞(富山県)の「危機で見えた『隙間』」も、感染者の発表や入院調整に関して県と市の役割分担に大きな隙間ができていることを指摘した。両紙とも社会が急激に変化する中で、国―都道府県―市町村という行政の仕組みや役割が十全に機能しない実態を伝えている。

 

東日本大震災特集

「東日本大震災から10年」を特集した記事

 

 東日本大震災から10年となる今年は、復興の現状を問う記事が並んだ。原発事故が発生した福島県大熊町の現在を伝えるルポ「望郷10年『戻るのは無理』」(長崎新聞)、津波で全壊した工場の再建を果たした食品会社の奮闘を伝える「なじみの味これからも」(千葉日報)、岩手県内の児童生徒や教職員への防災教育アンケート調査結果を報じた「教訓『伝えたい』85%」(岩手日報)など。

 

 福島民友の「原子力災害を仮想訓練」は、医療従事者らが対面せずに仮想空間で原子力災害対応訓練に取り組める教材用ソフトウエアを紹介している。福島医大が開発したこのソフトは、コロナ感染を促す「3密」を避けられるのが特長の一つだという。

 

 元旦号は中央図書館(1月5〜10日)で展示後、上宿図書館(11〜14日)、大沼図書館(16〜20日)、小川西町図書館(23〜28日)を回る。
(片岡義博)

 

【参考情報】
・第41回 ふるさとの新聞元旦号展のお知らせ(小平市立図書館

 

【筆者略歴】
 片岡義博(かたおか・よしひろ)
 1962年生まれ。共同通信社文化部記者として演劇、論壇などを担当。2007年フリーに。2009年から全国52新聞社と共同通信のウェブサイト「47NEWS」で「新刊レビュー」を連載。小平市在住。

 

 

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