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Jasmin Jasminプロジェクト

「食」からつながる、を目指すJasmin Jasminプロジェクト

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2021年9月18日

 「食費を節約されたい方へ、ご提供できる食材を準備しています」というシンプルなメッセージが書かれたチラシを目にした。「ひばりが丘フードサポート」と名付けられたこのイベントはどんな人が、どのような思いで始めた活動なのか興味がわいた。Jasmin Jasminプロジェクトの代表渡辺涼代さんの話を聞き、フェイスブックの投稿を読み、その思いがどんな形になったのか、見て、感じたいと思った。(写真:色とりどりのの食べ物、さあ、どうぞ!)

 

つながる場所をつくる

 

オリーブの木

オリーブの木が目印

 

 9月4日のイベント当日は、小雨ともいえないような微かな雨が地を濡らす一日だった。
 小寒い空気の中、訪れる人はあるのだろうかと少し心配しながら、会場のひばりが丘グレイス教会(西東京市ひばりが丘2丁目)へ向かった。

 住宅街の静かな通りに面して、おしゃれなカフェのような雰囲気の建物が現れた。立派に育ったオリーブの木が、酷暑も乗り越える逞しい生命力を感じさせた。繁った葉に隠れるように看板が見えた。広めのエントランスがテラスのようでもあり、張り出されたシェードの下、提供する食品が用意されていた。テラスの奥にキッチンが見える。

 

惣菜

手づくりのお惣菜

 

 キッチンではプロジェクトのメンバーが手づくりのお惣菜をパックに詰めていた。見た目もカラフルで、おいしそうな野菜中心のお惣菜。準備は大変ですか? と尋ねると「朝からの人もいるし、そうでない人もいるし、それぞれのペースでやっているのよ」と笑いながら答えが返ってきた。

 近隣の農家さんなどから野菜や果物の寄付があるそうだ。いただいた野菜を使って、先月から少しだけお惣菜も提供したところ、好評だったと聞いていた。無添加で、量も多過ぎず、何よりおいしそうだ。それは好評でしょう、と納得した。

 

秋の味覚

秋の味覚がどっさり

 

 机の上には秋の味覚がどっさり置かれていた。野菜も果物も採れたて。どうやって食べようか、と思いを巡らしたくなる。

 玄米の入ったご飯、お惣菜、寄付されたお菓子、お茶。いろいろなものが少しずつ並んでいる。

 西東京市の社会福祉協議会から送られた食品は手渡ししやすいように袋詰めされていた。お米、お菓子、飲み物、ご飯のお供、など保存しやすい食品がずっしりと詰まっていた。

 

話の時間も楽しむ

 

 たくさんの食材、加工食品が余るところでは余っている一方、さまざまな事情でサポートが必要な人がいる。「つなげる」場所になりたいという渡辺さんの発想が形になった光景だ。

 

オススメ

積極的にオススメ!

 

 子どもを連れた女性がカッパを着て自転車でやってきた。リピーターのようだ。何やら渡辺さんが相談にのっていた。食品をもらうだけにとどまらない、困ったことの相談窓口にもなっているようだ。遠慮がちに選ぶ女性に「お芋入れた?」「果物はどう?」と親切に勧める男性スタッフ。自転車のカゴがパンパンになるまで持たせて、みんなで「気をつけて帰ってね」と見送った。「若いおかあさん、頑張ってるね」「応援できてよかった」と言う気持ちが筆者にも伝播してきた。

 時間をおいてまた一人。朗らかに話していたが、コロナ禍となり、公園に出かけることさえ控え、他のおかあさん仲間とも会う機会が減ったという。紙おむつなど食品以外の物も「助かります」と言って受け取って行った。

 しばらくすると高齢の女性が数人来場した。お惣菜を手に取り「これだけいただくわ」と言った。しばらくスタッフと立ち話。お総菜も嬉しいけど、お話の時間も楽しんでいるようだった。

 

十字架の前、人の輪ができる

 

 終了時間近く、3組の来客。テラスは一気に賑やかになった。「渡辺さんには以前からお世話になっています」と言う人がいた。自身もボランティア活動の経験があると言う。友だちも一緒に、気兼ねなく立ち寄った、と笑顔で応じた。

 

きっかけは子どもの活動

 

 イベントの前日に渡辺さんから話を聞いた。
 「JASMIN」という名称は印象的だと感じ、由来を尋ねた。「Jは自由のJ、AはアクションのA、SはソーシャルのS、MINはマイノリティー」と教えてくれた。

 活動のきっかけは自由学園(東久留米市学園町)で2020年から高等科の生徒たちが行なっているボランティア活動だという。今年4月に婦人の友社から発行された「本物を学ぶ学校」という書物にも書かれている。池袋で困窮する人たちへの「炊き出し」を行う活動だ。頑張っている子どもたちのロールモデルになろうと、保護者として渡辺さんも一緒に活動に参加した。

 コロナ禍で学校はどうなるのか、授業は受けられるのか、そんな心配ばかりしていたという渡辺さんは、炊き出しや夜回りに参加し大きな衝撃を受けた。

 400食ほどの食べ物を渡しながら、「私もいつかこの列に並ぶ方になるかもしれない」と想像したという。今まで目の端で捉えていたホームレスの人たちが自分には見えていなかったのだ、と気づき、一時は精神的に苦しかった、と話した。社会の日陰と言われる部分を見ないことには世の中を捉えられないと痛感した、とも語った。

 2020年9月、「JASMIN」を友人と立ち上げ、仲間を募り活動と学びを始めた。
 地元西東京市で何か行動を起こしたいと仲間と共に活動を模索した。調布で「青少年の居場所Kiitos」を運営する白旗眞生さんに「子ども食堂をやってはどうか?」というアドバイスも受けた。フードロスという社会課題とコロナによる困窮家庭への支援を掛け合わせ、食品を地域で効果的に循環させる活動に決めたのが6月のことだった。

 会場探しに苦慮している時に、親しくご近所付き合いをしていたひばりが丘グレイス教会の牧師重美通典さん、純子さん夫妻に相談したところ、快く会場を提供してくれることになった。

 西東京市で行なった「フードパントリー」を通して知り合った人からの紹介があった組織、子ども食堂も経営する地元の事業所、西東京市社会福祉協議会、近所の農家さんなどが食品を提供してくれることになった。

 

準備した人たち。左から3番目が渡辺さん

 

 第1回目のイベントが7月3日。短期間に実行するバイタリティーはどこから生まれてくるのか、尋ねると、池袋での実体験に魂を揺さぶられた、生き方を見直すきっかけになったからか、と言葉に詰まりながら答えてくれた。

 会場に用意されていた名簿に今日の参加者が名前を記していた。準備する人も受け取った人も同じ紙に記されていた。支える方も支えられる方も人間同士、フラットな関係でありたい。つながり、寄り添って生きていきたい、そんな願いが込められていると感じた。
(渡邉篤子)(写真は筆者撮影)

 

【関連情報】
・Jasmin x Jasmin Project(facebook

 

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