傍聴席

座談会「傍聴席から見た議会」 みんなの議会をもっと身近に

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2021年10月18日

 

「与党」「野党」で答弁が違う?

 

北嶋 その後、今の議会を傍聴して、「あれ?」と思うことはないでしょうか。

小林 3月定例会後も、SNSで市議会の情報(「野党」側の市議さんの投稿や、市政をチェックしているような投稿、市内のいろいろな団体の投稿)を眺めて、「今度の予算委員会は見た方がいいかな」「本会議は進まなさそうだから、この日じゃなくていいのかな」とか判断しながら傍聴に行っています。仕事のスケジュールが急に空いたりして、「与党」市議さんの質疑だけを見て帰る時もありますし、正直、あまりにも専門的な議題の時は、教育関連の傍聴資料とかを熟読(笑)して帰ることもあります。
 傍聴資料はできればWEBに掲載して欲しいですね。あんな分厚いものを読みながら聴くのは難しいですから。
 8月と9月に傍聴に行ったのですけど、同じことを「野党」の議員さんと「与党」の議員さんが質問すると、答えが違うのですよね。例えば「野党」の議員さんがコロナについて質問をすると「A」です、という答えが返ってきて、何日かして「与党」の議員さんが聞くと、大筋では同じようだけども、先日の「A」という答えに、ダッシュがついて「A’」になっている。なぜかプラス・アルファの要素が加わっている。一日二日の間に、状況が変化したのかなと思って帰ったのですが、9月に丸一日いた時は、質疑の順番が回って来る中で答えが変わってくる感じで、ここまで答えて良いという指示がどこからか出てくるのかな? 何か妙だなあと思ってしまう。そして、いつのまにか、「私たち何々党の市議団が答えを引き出した、成果を引き出した」となってしまうのも、不思議だなと思ってます。

北嶋 そういうふうに思われることがしばしばあると、少なからぬ議員からも聞きます。本会議の質問は、各議員から出された質問について、課長らが本人と会って質問の趣旨を聞き、答えを調整する場合がほとんどだと聞いています。その中で、「これに答えてほしい」と質問をキチンと明示して、それに答える場合と、そこをうまく押さえないと答えも素っ気ないケースがあるので、答えにずれが生じることになる、というのがある職員の説明でした。
 ただ僕らが聞いていても「支持会派の方に、ああここまで言えるのだ」という話が出るときも折々あります。ただそれが、さっき言ったようなことなのか、よくわかりませんけど。しかし質問者によって答弁がころころ変わっていくということは、あってはならないことです。しかも基本が変わってしまうと、前の人が、自分の答弁と違うと異議を申し立てるでしょう。だからそこはないと思っているのですが。土井さん、その辺は実際はどうですか。

土井 私の頃は、私と共産党だけが野党的な立場だったから、あまり事前調整的なことはなかったです。だけどこんな話を聞いていてずっと思っているのですが、地方議会は大統領制で、「与党」「野党」というのは本当はないでしょう。だから市長選というのはあまり政党や議員中心、支持する党派、支持しない党派となるのではなく、候補者は、市民に直接訴えかけるのが、望ましいと思うのです。議会はチェック機関だから、議会が市民の立場に立って市政をチェックするというのがあるべき姿だと思うのです。与党会派は事前に市長との話があって、議場ではあまり本音のところ、要望も含めて出さない、野党的立場の人は強く言うけど通らないし、ストレスが溜まる、というのは市政にとって良くないと思います。与党野党に関わらず、議会が一体となって政策を判断することになるといいと思います。
 私の議員時代は「与党会議」というのがあって、「与党」が大半だったから、実質的な議決機関は与党会議だと言われていました。今は人数が拮抗しているから、それはないと思うけど。

 

自治体の二元代表制

 

北嶋 皆さんご存じだと思いますが、いろんな方がこの座談会を読むので、屋上屋を重ねることになりますが、自治体の議会の特徴に触れてみます。
 日本の国会は議員選挙があって議員の中から首相を選ぶ。地方の場合は、市長は市長で選び、議員は議員で選ぶ。だから議員の多数派から市長を選ぶわけではない。こういう制度をよく「二元代表制」と呼びます。
 しかし市部局が市長を補佐して予算を編成し、施策を実行する。市長サイドは圧倒的に情報量が多いわけです。それを議会にも提出して公正な議論やチックが出来るようにしてもらいたいというのが、議会側からいつも出される要求です。
 ただ、建前上はそういう作りになっていますが、議会の実際は、会派を組んで要求や政策を提出し、実現していくという仕組みをとっています。多数会派は要望書などで市側に政策内容を伝え、個別の施策でも働きかけます。市側も重要案件は多数会派に事前説明して、少なくとも幹部らの内諾を取り付けると言われています。そういう積み重ねの上に情報が行き来し、政策が実現していく。ざっとこんな流れでしょうか。
 その時に市の政策の基になる法律は国で決めるわけです。よく「3割自治」と言われていますが、根幹に関わることは国が決めて、後は具体的にどう実施するかは自治体に任されているケースがかなり多い。ほとんどといっていいくらいなので、どうしても国の決めたことを地域に持ってきた時に、それが自分たちの要望と同じだと好都合です。逆に自分たちの要望を実現するために全国的な政党に所属、強化して実現に持っていこうとする。ですから現実は、国段階での政党が自治体の議会でも会派として現れる。国や都の選挙とのつながりももちろんあります。

土井 法律の下で自治体行政を進める時、出来る範囲は限られていて、どこに予算を付けるかは市町村レベルでは政党間にそんなに差はないと思います。外交や国防を自治体が取り扱うわけではないし、福祉でもほとんど法的に枠組みが決まっている。自治体は政党政治ではないのに、現実はそうなっていないのに、議会の質問を聞いていると、ちょっとむなしい思いがすることもあります。

北嶋 地方議員の政党化は全国津々浦々まで浸透しているので、その弊害が出てきていると思いますね。党派、会派の眼鏡でしか物事を見ない場合が少なくない。悲しいけれども、そういう弊害があるからこそ、議会をみんなが傍聴している、見ている、そういう視線が必要なのだと強く思いますね。

土井 もうひとつ、さっき根本さんもおっしゃってたけど、私も今の池澤市長は元職員だったせいか、言葉に無駄がないというかそつがないというか、あとで突かれるようなことは言わない、自分の意見や考えもはっきり言わない。 何て言うのかな、訴える力が弱い。ホームページに載っている市長のメッセージでも、決まったことを読んでいるような言葉が並んでいて、思いが伝わってきません。選挙で選ばれた市長なんだから、もう一歩進んで、自分の答えや考えを言ってもいいと常に思いますね。

 

子連れ傍聴を気兼ねなく

 

北嶋 ハハマナブのメンバーが子どもを連れて傍聴に来ていました。子どもが聞いて楽しい話題があれば退屈しないでしょうが、まあ、楽しい話を議会で聞けるとは思えない(笑)。それにしても、子連れでも気兼ねなしに傍聴できる工夫があってもいいと思うんですけどね。

竹之内 私は子連れで行ったことはありませんが、他のメンバーが子連れで傍聴に行きました。市のHP には議長の許可があれば子どもの傍聴も可能だと記載されています。その時は、事務局の方に配慮していただき、傍聴席の後ろの車椅子用のスペースを使用させてただいたそうです。別室になっていますが、窓ガラスがありませんので、子どもに大きい声を出されると困ってしまいます。柔軟に対応して下さっているので、子ども連れの傍聴者が増えれば、もっと仕組みが変わりそうな気がします。

仲村 事前に予約すれば託児保育ができるといいですね。それと手話通訳ですね。行ってみたいと思う人が聞きやすいような体制作りをもっと努力すべきじゃないのかと思います。兵庫県のどこの自治体だったかだったかな。 議会のホームページで、年間の傍聴者数をもう10何年分も一覧表にして掲載したところがありました。託児や手話通訳など希望すれば手当してくれるよう、私たちが要望してもいいのかなと思ったんですけどどうでしょうかね。

>> 予算、決算特別委のネット中継を 議員がひんぱんに出入りするわけ ネット中継、投票率 答弁が「つまらない」裏事情…

 

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座談会「傍聴席から見た議会」 みんなの議会をもっと身近に」への2件のフィードバック

  1. 1

    皮肉ですが、あの中傷ポスターが皆さんに市政への関心を高めたのですね。
    ハハマナブの候補者一人一人のインタビューは、とても衝撃でした。新しい方たちによる新しい動きがとても新鮮で好感持てました。あのインタビューを聞いて、あぁ、政治家は、ビジョンを語り、実務家は、そつないけど自分からは何もしないということなのだなぁと良く分かりました。もちろん、ビジョンを描いても、実現してくれるかどうかは、別ですが。
    座談会の中にありましたように、中継でも、子連れでも、何か一つ実績を上げて、新しい風を呼び起こして下さい(^^♪ 私は、国が決めるのをこなすのに精いっぱいの地方行政には、少しうんざりしています。でも、市民や議員や行政人がこのまちをどうしたいのか、ビジョンを持ち、議論しあい、何か一歩でも進められれば、違った姿が見えてくるように思います。若い息吹に期待します。

  2. 2

    「決算論議で足りなかったこと」の節で、北嶋発言に誤りがありました。決算特別委員会の委員長は大竹敦子議員(共産)でした。納田里織議員は9月27日開催の予算特別委員会の委員長でした。お二人を始め関係者のみなさまにご迷惑をおかけいたしました。関係箇所を削除し、お詫びします。(北嶋)

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