便利な図書コーナーと交流スペース 男女平等推進センターが利用呼び掛け

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2023年2月4日

 図書館に行かなくても女性の生き方や男女平等などのテーマに簡単にアクセスできる、便利な図書コーナーが東久留米市役所2階にある。男女平等・共同参画社会の実現をめざすうえでのさまざまな問題の理解を深め、市民が行動するきっかけになればーとの目的で、市の男女平等推進センター(フィフティ・フィフティ)内に設置されている。

 

男女平等推進センター

東久留米市役所2階にある男女平等推進センター。書籍コーナーと交流スペースは奥にある

 

 図書コーナーは、男女平等推進センターが発足した1997年に同時にセンター内に設置された。当初は、イトーヨーカドー東久留米店の向かい側のマンション1階にあったが、6年前に現在地に移ってきた。

 図書コーナーのいちばんの魅力は、利用者本位とも言える使い勝手の良さだ。来訪したその時に図書カードが作れて本もすぐに借りられる。図書館と違い読みたい本の検索をする必要はない。本棚から直に本を手に取り、借りたければそのまま持ち帰れる。本をその場で読みたい人には、併設してある市民のための「交流スペース」が用意されている。

 蔵書は約1300冊もあり、男女平等・共同参画、女性史、フェミニズム、ジェンダー、差別、性教育、人間関係などの本は、入門書から専門書までそろっていて利用者の評価が高い。料理、コミック本、小説もあり、だれでも立ち寄れる。ノーベル文学賞作家・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの著書「戦争は女の顔をしていない」のコミック版まである。

 

交流スペース

交流スペースを利用している市民

 

 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチは1948年、旧ソ連ウクライナ生まれのジャーナリスト。父はベラルーシ人で軍人、母はウクライナ人で第2次大戦後、父の除隊を機にベラルーシに移住。国籍はベラルーシ。著書「戦争は女の顔をしていない」は、第2次大戦の独ソ戦に従軍した旧ソ連軍の女性兵士500人以上から戦場での体験を口述記録したノンフィクション。1985年に出版した当初、出版禁止となり、旧ソ連から厳しく批判されたことでも知られる。ノーベル文学賞でのジャーナリストの受賞は初めて。

 2020年1月から刊行が始まったコミック版は3巻本で、すでに完結している。女性兵士の戦場での体験が詳細に描かれ、戦争の実相が具体的にイメージしやすくなっている。原著と併読すれば戦争の悲惨さへの理解が深まるだろう。ウクライナでの激しい戦闘が連日報道されるなか、「戦争は女の顔をしていない」への関心が高まっている。

 図書コーナーの蔵書は、市立4図書館のホームページで検索でき、一人2冊、2週間まで借りられる。

 その時々のテーマに合った書籍の紹介もしている。昨年の国際男性デー(11月19日)に際しては、市立4図書館、中央(中央町4丁目)、東部(大門町2丁目)、ひばりが丘(ひばりが丘団地)、滝山(滝山4丁目)と連携して関連図書の展示と図書リストの配布を行った。

 国際男性デーは、世界中でジェンダー平等を実現する目的で、1999年にカリブ海の島国、トリニダード・トバゴで始まった。男性の問題だけでなく、一人ひとりの個性に目を向け、お互いに人権を尊重し合い、ありのままに自分らしく生きられる社会の実現をめざしている。国連など国際機関によって定められた記念日ではないが、毎年11月19日に全世界の団体・個人に参加を呼び掛ける日である。

 

書棚

書籍コーナーの蔵書の一部

 

 センターはまた、男女共同参画のための講座も開催しており、講座ではテーマに沿った関連図書のリストを参加者に配布し、学びを深める情報提供に努めている。

 図書コーナーをよく利用する落合博美さん(26)の感想は、これから利用しようと考えている人たちに参考になる。「自分らしさとは何かと悩んでいる人、子供の性教育を考えている人、自分や大切な人の命と健康を守るための知識を得たい人などには、特に利用を勧めます。社会で話題やテーマになっている本がタイムリーに選ばれて展示されているのも魅力です」。

 センターのコーディネーター・安田和代さん(61)は「市役所の用事で来たついでに立ち寄る人もいます。本だけでなく男女共同参画に関する資料や相談先の情報などもありますので、気軽に利用してほしい」と、利用者の来訪を待っている。

 本の貸し出し利用は1日2~3人と決して多くはないが、センターは男女共同参画情報誌「ときめき」(6人の市民が編集)の最新号(N.68)では、特集「本を読んでみる? 意識をアップデート!!」でセンター所蔵の本を紹介し、市民への図書コーナーの周知と利用促進をはかりたい、としている。

 1カ月後に「国際女性デー」(3月8日)が迫っている。「国際女性デー」は1904年、アメリカ・ニューヨーク市で婦人参政権を求めた女性労働者のデモが起源。国連は1975年、3月8日を「国際女性デー」に制定、「女性の社会参加と地位向上を訴える日」「女性の素晴らしい活躍と、勇気ある行動を称える日」としている。

 「国際女性デー」に対応して男女平等推進センターは、「市立4図書館では関連図書の展示、生涯学習センターではパネル展示を予定しています。男女平等は女性だけでなく男性にも関わる問題でもあるので、一人でも多くの市民に男女平等推進センターと図書コーナーを利用してもらいたいです」(安田さん)。
 図書コーナーの利用時間は、平日の午前9時から午後5時まで。市民からの本の寄贈も受け入れる。
(鈴木信幸)(写真は筆者撮影)

 

【関連情報】
・男女平等推進センター(フィフティ・フィフティ)(東久留米市

 

鈴木信幸
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便利な図書コーナーと交流スペース 男女平等推進センターが利用呼び掛け」への1件のフィードバック

  1. 渡辺美恵
    1

    東久留米市男女平等推進センター(コーディネーター安田和代さん)の声がけ、いいですね!。男女の平等を願って諸団体や自治体がいろいろな活動・施策を展開していますが、女性蔑視発言は後を絶たず。そんな残念な環境を地域から少しずつ変えられるかもしれないという希望を見せてくれたこの記事を嬉しく読みました。私の住む西東京市にも男女平等推進センターパリテに図書コーナーがありますのでもっともっと利用して学びたいと思いました。男女が共に尊びあえる男尊女尊社会を提示してくださった鈴木さんの筆にも感謝です。

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