カフェを開いて地域交流 再出発した田無の会「たんぽぽ」

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2016年4月21日
カフェの看板が入口に(写真は筆者提供)

カフェの看板が入口に(写真は筆者提供)

 東京都や西東京市から行政処分を受けていた社会福祉法人田無の会が、役員を一新し再スタートを切ってから10か月。今では地域に開いた取り組みを広げている。4月19日(火)には同法人が運営する知的障害者入所施設「たんぽぽ」(西東京市向台町三丁目)で、地域の交流サロン、カフェ「たんぽぽ」をプレオープンした。

コーヒー、紅茶もどうぞ(写真は筆者提供)

コーヒー、紅茶もどうぞ(写真は筆者提供)

 カフェは施設の1階談話室にある。2面ガラス張りの窓からたっぷり日が差し込む開放的な空間だ。ホットコーヒー、紅茶、ウーロン茶などの飲み物のほか、施設利用者も一緒に手作りした焼き菓子ビスコッティなども用意された。午後1時30分の開店から午後4時まで、福祉支援関係者や近隣住民、施設利用者など26人が訪れ、開店を祝った。

 利用者家族会の佐野光江さんは「たんぽぽは本当に変わりました。新しく役員になられた方などみなさん、大変なご苦労があったと思います。感謝しています。私たち家族会もさらによくなることを願って協力、努力していきます」と目を輝かせた。
カフェの運営は、民生委員や地域の課題解決を支援する「ほっとネット推進員」、施設利用者、職員などが行う。

 カフェのほかにも、昨年10月には、施設内の地域交流スペースで開かれた「たんぽぽ祭り」で、初めて市内にある武蔵野大学の学生音楽楽団16人が施設を訪れ演奏した。11月からは、市民ボランティアが、簡単な機織りを定期的に行い、施設利用者から好評を得ている。また、利用者が行うクラブ活動にも市民ボランティアが訪れ、ピアノ演奏やコーラスなどを披露している。

 

賑やかな談話室(写真は筆者提供)

賑やかな談話室(写真は筆者提供)

 

 田無の会は、たんぽぽで起きた入所者の虐待やずさんな運営が明るみに出て、2013年9月、東京都から新規利用者の一時受け入れ停止を命令された。翌年には、国の基準に都が上乗せ補助する「サービス推進費」(年間約5000万円)の停止処分も受けた。

 都や現場の状況把握に努めていた西東京市などは、主な改善指摘事項として、役員体制の刷新及び充実、評議員の牽制機能強化、施設長の配置、職員研修の充実などを掲げた。

 前理事長らが任期満了で昨年2月に退任したのを機に、利用者の保護者で、理事会の諮問機関である評議員を務めていた大森昇司さんが新理事長に就任。7月には障害福祉のトップリーダーらが理事になり、知識と経験を要する施設長には理事の一人、植村義秀さんが選ばれた。信頼回復と経営再建を目指した人選だ。さらに監視力を強めるため、評議員には新たに民生委員や家族の代表、福祉の専門家などを入れた。

 職員の研修では、内部の人権擁護委員会で活動計画を立て、外部講師を招いた人権擁護に関する研修などを充実させている。こうした取り組みが認められ、昨年10月、都は新規利用者の一時受け入れ停止を正式に解いた。サービス推進費についても今年度から交付されることがほぼ固まっている。

 新しく事務局長になった小沢弘さんは、「山積みになった段ボールの書類を処理してきました。たんぽぽに入って本当によかった、と感じていただけるような運営をしていきたい。法人理念の『ともに笑顔!ともに安心!ともに信頼!』の下、地域に開かれた施設にしていきたい」と話していた。

 施設長の植村さんは、「まだまだ課題は多いです。利用者さんがどれだけ安心して生活できるか。ボランティアの方たちに施設に来ていただいて、恥ずかしくない施設運営を心がけなければいけないと思っています」と力を込めた。

 田無の会では、利用者が行う野菜作りなどを指導する、ボランティアスタッフのほか、女性の生活支援員(正規、非常勤)、女性の夜勤支援員(非常勤)を募集している。(問い合わせは、電話 042-461-7471)。

 特に利用者の日常生活の支援を行う支援員の補充は喫緊の課題。現在、支援員は常勤換算で26人。利用者の定員は50人。規定ではあと7人必要となる。

 カフェ「たんぽぽ」は、毎月開催予定で、次回は5月17日(火)午後1時30分から午後4時。無料。本格オープンは6月。第1・第3火曜日に開催する。参加費は100円。
(柿本珠枝)

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

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