第38回 会社人間だった私の地域デビュー

 

 2.是非、地域デビューして欲しい

 

 会社を辞めても、会社仲間と引き続き遊ぶ人もいる。だが、東京都心に勤めていた頃の仲間というのは、千葉、埼玉、神奈川などから通っており、年に数回都心で会うならともかく、誰かの家に行くとなると東京をまたいで行くことになり、だんだん足が遠のいてしまう。

 そこで、選択肢の一つとして、地域で仲間を探す、地域で自分の役割を探すというのもあると思うのだ。

 2013年に、実行委員会方式で第一回「西東京おとぱ」を開催した。「おとぱ」というのは、「お父さんお帰りなさいパーティ」のこと。会社人間で家には寝るだけというお父さんたちに、定年を契機に是非地域で活動してもらいたい、歓迎しますという意味を込めている。「お父さん」という名称は、現在だとセクハラと言われかねないが…。八王子市、小平市、武蔵野市などですでにやられていたものを参考にさせてもらった。

 

第1回西東京市お父さんお帰りなさいパーティのチラシ

 

 西東京市市民協働推進センター(通称ゆめこらぼ)、田無公民館との共催で実施した。ゆめこらぼが年一回開催する「NPOフェスタ」(NPOや任意団体の展示説明会)の前に地域で活躍されている方の講演を聴き、その後、数チームに分かれて展示ブースを回り、団体の活動内容を聞き、どんな人を募集しているのかを尋ねる。その後、感想の共有やNPOフェスタ参加者との交流会を行った。

 基調講演で、「好齢ビジネスパートナー」世話人の堀池喜一郎さんが、これからのシニアは、「生きがい、やりがい、ナイスガイ」(地域の人とつながる、役立つ、信頼される)の3ガイ主義が大事と言っていたのは、今でも通じると思う。

 この年には、先輩市に倣い、事前に「妻たちの座談会」も実施。定年退職後、「濡れ落ち葉」然となる夫になんとか外に出て欲しいと、これまで夫不在の中、地域で楽しんできた妻の切実な話を披露してもらった。また、NPOフェスタの後、すでに地域でさまざまな活動をしている方々の話を聞き、意見交換できる10回ほどの講座も実施した。

 ゆめこらぼでは、その後も、同様な趣旨の講座を開催している。そのなかから、地域デビューした方がおられるものの、残念ながらごくわずかに止まっている。
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