第38回 会社人間だった私の地域デビュー

 

 4.地区会館での事務員募集に8人も

 

 なぜ、今回このテーマを取り上げたかと言うと、これから定年退職する人たちは、パソコンも使えるし、教育水準も高い。企画力があり、リーダーシップを取れるような人材もいる。しかも、地域への関心も、以前より高まっている気がする。だが、こうした人材を地域に活かす場所があるのだろうかとの懸念があるからだ。

というのは、私は、現在下宿地区会館の管理運営協議会代表をしており、この年末年始に事務員を2名補充する必要に迫られた。募集があるだろうかと心配したのだが、なんと8名もの募集があり、嬉しい悲鳴を上げた。

 どの方も、良い方で、甲乙付け難かったが、面接した3人の意見がほぼ一致し、仕事内容に一番適していそうで、即戦力になってもらえそうな方を選んだ。選ばなかった方のなかには、実に「もったいない」方が数名おられた。

 

生涯現役応援窓口のパンフレット

生涯現役応援窓口のパンフレット

 

 「もったいない」という意味は、ある程度定型化した事務の仕事よりも、もっとリーダーシップを発揮したり、企画したり、指導したりという仕事の方が適しているのではないかと思われる方々だったからだ。そういう人たちが、地域とのつながりの手がかりを得ようと事務員募集の貼り紙を見て応募して来られたのだ。

 ある方は定年で、ある方は両親が亡くなって、ある方は在宅勤務ではじめて地域に目を向け、どうやって地域にとっかかりを得ようか考え始めた。子育ては、他地域に住んでいた時代だったので、PTAやおやじの会など子供の成長過程で生まれるつながりはこの地域にはないという。でも、この方たちは、それでもなんとか地域デビューしたいと思って応募してきてくれたのだ。

 地域デビューしたいという気持ちがあるのに、彼ら彼女らに適切な先を紹介できないことが忌々しかった。私が「もったいない」「もったいない」と嘆いていたら、ある方が市役所に「西東京市生涯現役応援窓口」(電話:042-455-6490)が出来ていることを教えてくれた。

 「パンフレット」によれば、「市内での活動の場を探している方や定年後どのように過ごすか迷っている方に対し、就労、ボランティア活動、趣味のサークルなどの具体的な活動の場を一緒に探し、マッチングを行います。お気軽にご相談ください。」とある。個別に面談し、適正などを判断し、必要であればスキルを磨くチャンスも提供し、やりたいこととのマッチングを図り、その後もフォローアップしてくれるのだという。

 お話を伺ってみると、2020年5月1日にスタートし、ちょうど1年ほど経った。当初は、月10件程度だったが、3月には70件ほどの相談があった。厚生労働省の生涯現役促進地域連携事業に手を挙げて実施したもので、西東京市は、フレイル予防に力を入れており、それには、社会参加が不可欠という考えからという。初回の相談だけでなく、その後も継続して相談に乗った件数は、46件。相談の多くは就職希望で、実際の就職につながった件数もかなりあるとのこと。窓口としては、就職以外の生きがいにつながる活動についても、広げていきたいとしている。年2回、「セカンドライフセミナー」も開催している。とても心強い窓口のようなので、広く活用して欲しい。
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