第40回 「おひとりさま」の老後:入院・手術を受ける時


  富沢このみ(田無スマイル大学実行委員会代表)


 

1.ヨタヨタ・ドタリ期への備え

 

 高齢化社会を考える仕事を24年前にしたことがある。そのころには、「PPK(ピン・ピン・コロリ)」、死ぬまでピンピン暮らしていてコロリと死にたい、誰かの世話にならずに死ぬことが理想、と考えられており、自分もそうありたいと願っていた。

 ところが、春日キスヨ『百まで生きる覚悟―超長寿時代の「身じまい」の作法』(光文社新書)によれば、PPKは、実際には無理で、多くの人は、「ピンピン」の後、「ヨタヨタ」し、「ドタリ」と倒れ、そしてしばらくしてからようやく死「コロリ」が訪れるのだという。PPKを夢見て、運動したり、脳トレしたりして頑張っても、「ヨタヨタ・ドタリ期を」避けては通れないのだから、そのための準備をしておく必要があると言われている。

 

ドタリ期図

(図1)ピンピン・ヨタヨタ・ドタリ期から死へ

 

 実際日本人の平均寿命は、毎年伸びている。1995年には、男性76.38歳、女性82.85歳のところ、2019年では、男性81.41歳、女性87.45歳と5年ほど伸びており、今後も、まだ延び続けると予測されている。このため、国でも、平均寿命と健康寿命との差が問題視されている。

 健康寿命とは、寝たきりや認知症など自分で日常のことができない状態になるまでを指す。日本では、健康寿命と平均寿命の間に、男性9年、女性12年ほどの開きがある。この期間を短くすることが国の大きな課題となっており、西東京市では、いち早く、フレイル(加齢による衰え)予防に取り組んできた。
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【目次】
1.ヨタヨタ・ドタリ期への備え
2.おひとりさまの備え
3.入院するときに求められる身元保証人
4.病院にとってのリスク
5.身元保証等高齢者サポートサービス
6.介護保険制度と成年後見人制度の利用
7.増加が見込まれる「おひとりさま」
8.身じまいの作法の必要性

 

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