第40回 「おひとりさま」の老後:入院・手術を受ける時

 

6.介護保険制度と成年後見人制度の利用

 

 「身元保証等高齢者サポートサービス事業」については、指導監督に当たる行政機関が必ずしも明確ではないこともあり、国としては、利用するなら良く調べてから契約するようにと警告するに留まっているようだ。公的には、①病院や福祉施設に対し、「身元保証人が居ないからといって断わってはいけない、どのような対応をすべきか検討するように」と伝える一方、②身元保証人の居ない人には、「日常生活支援サービスについては、介護保険制度を利用し、金銭管理や施設への入所契約については任意成年後見人制度を利用する」ことを勧めているような感じだ。

 西東京市では、社会福祉法人西東京市社会福祉協議会のなかに、権利擁護センター「あんしん西東京」という窓口があり、成年後見人制度に係わる相談に乗ってくれる。成年後見人制度には、①認知症になってから、家庭裁判所で選任される法定後見人制度と②本人の意識がしっかりしているうちに、本人が依頼する任意後見人制度とがある。任意後見人の場合には、サービスの範囲なども決めることができるらしい(注1)。しかし、近くに親身になってくれる親族が居ないおひとりさまの場合、制度と制度の間に何か隙間がでてきそうに思えてしまう。
(注1)私の個人的な相談日は、9月中頃となったため、成年後見人が実際どこまでやってくれるのかなどの詳細は、次回報告する。

 上野千鶴子さんは、おひとりさまを楽しむには「人持ち」が必要と言われる。私は、元気なうちは、そこそこ「人持ち」であると思うが、「ヨタヨタ・ドタリ期」において、「人持ち」であるとは、自信を持っては言えない。そうなると、実際にはどこまでやってくれるか不明ながら、「身元保証等高齢者サポートサービス」が魅力的に思えてしまう。
次のページに続く

【目次】
1.ヨタヨタ・ドタリ期への備え
2.おひとりさまの備え
3.入院するときに求められる身元保証人
4.病院にとってのリスク
5.身元保証等高齢者サポートサービス
6.介護保険制度と成年後見人制度の利用
7.増加が見込まれる「おひとりさま」
8.身じまいの作法の必要性

 

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