第41回 「おひとりさまの老後」:ヨタヨタ・ドタリ期から死まで

 

5.遺産、死亡給付金と税金

 

(1)遺産相続-法定相続人が居ないので自在に

 私の場合、民法で定められた法定相続人は、居ない(表5参照)。したがって、放っておけば、遺産は、国庫に入る。

 

法定相続人とは

表5 法定相続人とは

 

 介護費用や任意後見人への支払いを考えると、おそらく、貯金は、底をつくと思われ、遺産としては、土地程度であろう。建物については、むしろ壊すのに費用がかかるかもしれない。国庫に入るのも良いが、せっかくなら自分の意志に応じた使われ方をしてもらいたい。しかしながら、お世話になった方にうっかり差し上げると、贈与税がかかり、その方の所得が増えて医療費負担の割合が上がるなど、却って迷惑を掛けかねない。

 現在、「多世代交流・地域の居場所どんぐり」として活用している隣の敷地は、もともと自分が住んでいる自治会に集会場がないのが不満で購入・活用した経緯もあり、気持ちとしては、自治会に寄付したい。これが可能かどうか調べたところ、地方自治法により、自治会が「認可地縁団体」として認められれば、遺贈しても、相続税は、非課税となる。自治会が認可地縁団体になった場合でも、収益事業をしていなければ、法人税は、減免対象となるようだ。もちろん、これには、自治会の総会で、認可地縁団体になるかどうか決めてもらわなければならないのだが。

 自宅として使っている敷地については、社会的に有意義な活動をしている団体のうち、寄付を受け付けている先を探して遺贈したい。10年ほど地域活動をしながら、遺贈する先を見つけたいと思っているのだが、是非ここにと思える団体にはまだ出会っていない。そうなると、日本ユニセフ(国連児童基金)協会とか、国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)協会などにするかもしれない。こうした公益法人なら相続税の対象とならないとされている。日本財団は、遺贈・寄付サポート窓口を設け、相談にのっている。

 

(2)死亡給付金-贈与税2割増なのが申し訳ない

 現在掛け金を払っている生命保険では、死亡給付金が出る。契約の際、親族以外は指定できないと言われ、受取人は、母方のいとこになっている。しかし、彼は、私より一回り上の男性だ。死亡給付金は、我が家を片付ける費用、葬儀費用ほか、死後に必要なさまざまな経費に使ってもらいたい訳だが、受取人の方が私より先に死んだ場合は、どうなるのだろう。生命保険の場合は、民間契約なので、契約書にどのように書かれているかによって支払われ方が違うという。

 それまで契約書約款など字が細かく見ていなかったのだが、今回初めてみたら、受取人が先になくなった場合、「受取人の法定相続人」に支払われるとなっている。いとこには、配偶者も子供もいるので、なんとかなりそうだ。しかし、受け取った人は、法定相続人ではないので、贈与税、しかも2割増し掛かるという。なんだか申し訳ない。

 

 >>次のページへ続く 6.任意後見人契約・尊厳死宣言・遺言-公証人役場へ

【目次】
1.ヨロヨロ期-まずは、民生委員・地域包括支援センターに相談
2. 在宅か施設か-わがままな私は在宅にしよう!
3. 在宅で死ねるか-孤独死⁉ 死んだ経験がないので不安だ
4. 任意後見制度の活用-2,000万円の預貯金で100歳まで
5. 遺産、死亡給付金と税金
6. 任意後見人契約・尊厳死宣言・遺言-公証人役場へ

 

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