第1回 どこに相談するか?


 斎藤澄子(社会福祉士・精神保健福祉士)


 

 こんな相談が…

 私の勤務する某区の相談窓口に、ときどき、こんな電話がかかってきます。

 「来週退院する予定の高齢者のために、介護保険で階段に手すりをつけたい。どうしたらいいですか?」
 「ずっと家族だけで看てきたんですけど、もう限界だと思います。施設の情報は、どこで得ることができますか?」
 「地方で1人暮らしをしてきた親が認知症っぽくなってきたので、都内に呼び寄せようと考えているんです。何から準備したら、いいですか?」

 平成12年(2000年)に介護保険制度ができた当初に多かった上のような相談が、最近また増えてきたような気がします。制度開始後15年経って、世代交代したのでしょうか。

 介護が必要になる状況というのは、高齢者本人にとっても、その家族にとっても、未知の出来事であることがほとんどです。公的なサービスは案外たくさんあるのですが、待っていても、向こうからやってくることはありません。利用者側が情報収集、サービスのイメージづくり、申請(介護保険の場合は要介護認定という手続きも)、事業者の選択など、さまざまなことを行って(関門を通って)、初めて必要なサービスがやってくるのです。

 介護が必要になった場合、まず、どこに行ったらよいのでしょう。誰が、相談に乗ってくれるのでしょうか。

 

 まず高齢者支援課

 まず、考えられるのは、行政の窓口(西東京市であれば、市役所の高齢者支援課)です。行政はどこも接遇(態度や言葉遣い)に力を入れているので、(多分)親切に相談に乗ってくれるでしょう。

 行政窓口のよいところは、その場で申請が可能なことです。サービスが必要な高齢者の「介護保険証」を持参することが望ましいのですが、本人の住所と生年月日を知っていれば、介護保険証なしでも申請を受け付けてくれることが多いようです。(介護保険証は65歳になると、行政から送られてきます。大事なものなので、しまいこんだり、なくしたりしないように。40歳~64歳の方でも、認知症など特定の状態が認められる場合、申請すれば、介護保険証が発行されて、介護保険サービスを受けることができます)

 介護保険の場合、市区町村が「保険者」(実施主体)なので、市区町村は区域の事業所の情報を豊富に持っています。資料も用意されています。サービス開始後、疑問が生じた場合や制度の仕組みがよくわからない場合に、説明を受けることができます。また、サービスに不満があるとき、市が調整をしてくれたり、サービスの種類によっては、事業所を指導してくれることもあります。

イラスト= © 手島加江

イラスト= © 手島加江

 

 市役所は遠い、あるいは、敷居が高いのでは、と思われる方には、地域包括支援センターはいかがでしょうか。

 

 地域包括支援センターへ

 地域包括支援センターは、介護保険法に位置付けられた相談窓口です。西東京市なら、福祉センターや病院、特別養護老人ホームなどに、8か所設置されています。

 地域包括支援センターには、主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師(または看護師)が配属されていて、担当地域の住民の相談に応じています。主な業務は、

  1. 高齢者や家族からの総合相談
  2. 介護予防ケアプラン立案(「要支援」と認定された方や介護保険には該当しないけれど少し弱ってきた方に対するサービス計画を立てること)
  3. 権利擁護(高齢者虐待や成年後見制度 * の相談への対応)
  4. サービス事業者への支援

などです。

  * 成年後見制度:認知症などで判断力が低下した成人に対して、家庭裁判所が法的な代理人(親族や弁護士など)を選任する制度。社会福祉協議会などで、申立手続きや後見人の役割の詳細を教えてもらえる。

 地域包括支援センターの利点は、希望により、職員が家庭訪問をしてくれること。外出が難しい高齢者の場合など、状態を見てもらったうえで相談できるのは心強いことです。

 また、我が家のことだけではなく、近隣の心配についても、相談に応じてくれます。「隣りの高齢者の姿が、最近見えないのだけれど……」とか、「向かいの家で、高齢者が家族からひどく怒鳴られていて、心配」などの場合には、地域包括支援センターを知っておくと役に立ちます。

 

 社会福祉協議会も

 困りごとの相談先には、社会福祉協議会もあります。

 社会福祉協議会は、地域福祉の推進を目的として、「社会福祉法」という法律に基づいて設置された非営利の社会福祉法人です。
 福祉制度や日常生活の相談に応じるほか、ボランティアへの参加あるいは受け入れ、成年後見制度に関する相談、入院費用等の貸付など、さまざまな事業を行っています。社会福祉に関する知識が豊富な職員が多く、相談内容によっては、行政窓口につないでくれることもあります。

 そのほか、近くに「○○介護」「○○ケア」と名前のついた事業所があれば、寄ってみましょう。情報や助言を得られたり、適切な窓口を教えてもらえたりします。相談したからと言って、将来的に、その事業所を利用しなくてはならないということはありません。
 また、知人や近所の人々も、実は貴重な相談窓口。プライバシーの問題もありますが、思いがけない情報を持っていることもありますし、認知症高齢者については、症状があることをオープンにすることで、周囲からの支援が受けやすくなります。

 「困ったときは、藁でもつかめ」という姿勢が、問題解決につながります。
 いろいろな相談窓口を活用することで、光が見えてくることは少なくありません。困りごとがある方は、いずれかの窓口に接触してみませんか?

 

【プロフィール】
 斎藤澄子(さいとう・すみこ)
 福岡県出身。都内某区で高齢者の相談業務に従事。社会福祉士・精神保健福祉士。元看護雑誌編集長。趣味はトランペット演奏、長年の「少年隊」のファン。
 手島加江(てじま・かえ)
 イラストレーター。1980年桑沢デザイン研究所卒業。82年頃よりフリーとして活躍。広告、雑誌、書籍、CDなど。個展、グループ展など多数。

 

【関連リンク】
・西東京市高齢支援課 >> http://www.city.nishitokyo.lg.jp/siseizyoho/sosiki/fukushi/f_kourei.html
・西東京市地域包括支援センター >> http://www.city.nishitokyo.lg.jp/kenko_hukusi/koreisyasien/chiikihoukatu.html
・西東京市社会福祉協議会 >> http://www.n-csw.or.jp/

 

 

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