第6回 レトロな赤レンガの塀


絵筆探索_タイトル
大貫伸樹
ブックデザイナー

 


 

赤レンガの塀

水彩画・レトロな赤レンガの塀©大貫伸樹 (禁無断転載 クリックで拡大)

 


 

 ひばりが丘団地を抜け、イオンモール東久留米へ向かって西に進む小径の左手に、レトロな感じの赤レンガの低い塀がある。工場かホテルの跡地なのだろうか、などと推察しながらずっと気になっていた。

 一般的に塀は板塀でもブロック塀でも私の身長よりも高くして、乗り越えたり、覗き見したりが出来ないように、塀の中を守り、ときには拒絶するかのように造られるものだと思う。しかし、この塀はそんな塀とは全く反対の造りで低く、塀の外の人を受け入れているような、開放的な感じがするところにたまらなく魅かれた。

 塀の中は、小高い芝生の丘のような明るい空間が広がり、門柱のようなレンガの柱の上に置かれた白いボールのような街燈が、どことなくヨーロッパの庭園のような異国情緒を醸し出している。

 私はレンガの建築物が大好きで、昨年は富岡製糸場や碓氷峠第三橋梁(めがね橋)や碓氷トンネルなどを見学して、その美しさを堪能してきた。東京二十三区内にも東京駅をはじめたくさんのレンガの構造物が残されているが、西東京市にはレンガの大きな建築物がないのが残念でたまらない。

 関東大震災でレンガの建築は地震に弱いことが露呈したことが一因となり、昭和になるとレンガの建物はあまり造られなくなったという。西東京市の開発が本格的に進んだのは、大正13年に西武池袋線・田無町駅(ひばりが丘駅)が開業されてからだと思われるので、市内に大きなレンガの建物がないのは、鉄筋コンクリート造りが主流になってから開発が進んだからではないかと考えている

 そんな思いを巡らしているときにやっと見つけ出した市内のレンガの構造物が、平成15年に竣工したフォレストレイクひばりが丘のイーストゲート部分なのである。

 まだ築13年の比較的新しい建築物だが、いつでも見に行ける身近なレンガ塀は春夏秋冬季節の変化を楽しめるお気に入りの散歩コースになっている

 

(筆者作成 クリックで拡大)

 


 

 

装幀書籍
【筆者略歴】
大貫伸樹(おおぬき・しんじゅ)
 1949年、茨城県生まれ。東京造形大学卒業。ブックデザイナー。主な装丁/『徳田秋声全集43巻』(菊池寛賞受賞)、三省堂三大辞典『俳句大辞典』『短歌大辞典』『現代詩大辞典』など。著書/『装丁探索』(ゲスナー賞受賞、造本装幀コンクール受賞)。日本出版学会会員、明治美術学会会員。1984年、子育て環境と新宿の事務所へのアクセスを考え旧保谷市に移住。

 

 

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