第7回 地縁コミュニティ(自治会・町内会)は復活なるか

 

西東京市の自治会・町内会は約200

 西東京市は、「地域における安全・安心な暮らしの実現にあたっては、地域における自主的な取組の担い手である自治会・町内会が重要」と考え、2011年3月に『西東京市自治会・町内会に関する市民意識調査報告書』、4月に『西東京市自治会・町内会現状調査報告書』をまとめた。これら調査をもとに、2013年3月には、自治会・町内会を作るための手順などをまとめた『西東京市自治会・町内会ガイドブック』を作成した。また、その後、地域コミュニティを活性化させようと検討委員会を設け、2014年3月には、『西東京市地域コミュニティ検討委員会報告書』も出されている。

 これらの資料によると、西東京市には、2013年11月時点で226組織の自治会・町内会があると言われている。町名ごとにみると、相対的に、旧保谷市での組織が少ない。

 




(出所)西東京市『西東京市地域コミュニティ検討委員会報告書』2014年3月

 

 調査時点が古いが、『西東京市自治会・町内会現状調査報告書』によると(回答数60)、①1960年より以前につくられたものが最も多いこと、②集合住宅を対象とした自治会・町内会が多いこと、③比較的規模の小さい(加入世帯 100 世帯未満)自治会・町内会が多いことなどがうかがえる。

 運営面の苦労では、①役員のなり手がいない、②会員が無関心、③役員の負担が大きいがあげられている。加入者促進のためには、特に何もしていないところが多い一方、訪問やチラシ配りをしているところもある。自治会・町内会の活動としては、回覧板は、8割以上のところが実施しており、このほか、ごみ資源活動、防犯・防災活動が多くあげられている。

 表1 自治会・町内会の結成時期

 表2 自治会・町内会の加入対象形態

 表3 自治会・町内会の加入世帯数

 表4 自治会・町内会の運営面の苦労

 表5 行っている活動内容

(出所)表1~5は、西東京市『西東京市自治会・町内会現状調査報告書』2011年4月

 

 調査では、地域活動が充実している自治会・町内会がある一方、高齢化に伴う活動の担い手や加入者の減少、役員のなり手不足による役員の負担増加などにより、衰退・解散する自治会・町内会も多いという課題があげられている。そもそも、200以上の組織があるにも関わらず、回答数が60しかないというのも、実態のない組織が多いのだろうと推測される。

 西東京市は、地域コミュニティの強化をさらに図ろうと、市内を4つに分けて共助の自治組織を作ろうとしており、平成28年2月に西武新宿線南側の、南町、向台町、新町、柳沢、東伏見に「南部地域協力ネットワーク」を立ち上げた。この地域の自治会・町内会のほか、学校、地域包括支援センター、警察署・消防署、NPO等の市民活動団体などを含む(図参照)。活動方針としては、① 情報の連絡共有・発信 ② 団体同士の活動の連携・つながりの推進 ③ コミュニケ-ションの活性化・声かけのあるまちの実現の3つを掲げている。将来的には、市内の他地域にも広げていこうとしている。

 

(出所)『西東京市南部地域協力ネットワーク』 平成28年9月 第1号

 

 また、社会福祉法人西東京市社会福祉協議会でも、20の小学校通学区域に「ふれまち住民懇談会」を設けている。地域交流、防災・防犯、清掃活動、学習活動など、懇談会ごとにさまざまな活動に取り組んでいる。特に、自治会・町内会のない地域では、ふれまち住民懇談会が地域づくりに力を発揮しているようだ。
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