冷たい4畳半でふれた青春の一冊 by 川地 素睿

 

 上京して初めての冬、冷たい4畳半のアパートで過ごした。大学受験で気持ちをすり減らしていた2月、アパートのある中野区の宮園書房で定価60円、80ページに満たない詩集『北国』を購入した。井伏鱒二が訳詩した「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」の文句に魅かれていたわたしには鮮烈で寂寥感に満ちた詩集だった。(写真は、徘徊していた中野駅前の裏通り)