コメディアンの志村けんが2020年3月29日に逝った。新型コロナウイルスによる肺炎だった。享年70。突然の訃報だった。北多摩郡東村山町(現東村山市)出身の志村は1976(昭和51)年3月に所属するザ・ドリフターズの人気番組「8時だョ!全員集合」の中で歌った志村版「東村山音頭」で東村山の名を一躍全国に知らしめた。長年、芸能界の第一線で活躍して、地元の知名度アップに貢献したとして亡くなった年の6月に名誉市民になり、西武新宿線東村山駅前には銅像が建てられた。

 1995(平成7)年、東村山市の狭山丘陵南側の谷を流れる北川(荒川水系柳瀬川の支流)左岸に約2万平方メートルの規模で広がる「下宅部(しもやけべ)遺跡」が発見された。約13000平方メートルの調査で出た総数20万点以上の遺物のうち、縄文時代後期の特に木製品などの有機物が大量に出土した上、鮮やかな朱の漆塗り製品が目を引く全国的にも貴重な遺跡であることが分かり、2020年国の重要文化財に指定された。

 東村山市にある国立療養所多磨全生園(全生病院)では入所者の趣味の活動が盛んで、中でも俳句や短歌、川柳をたしなむ人たちが多かった。創作は生きがいだった。作家では全生園を舞台にした小説「いのちの初夜」を書いた北條民雄が知られる。かつては社会から隔絶された閉鎖空間の所内で「生きる糧」として入所者たちの心の支えになった。今回は文学を中心に療養所の暮らしを書くことにする。

 東村山市青葉町にある国立ハンセン病資料館の前身、高松宮記念ハンセン病資料館が1993(平成5)年6月に完成した。不治の病とされ長年、国の隔離政策が続いたハンセン病は完治する病になり、強制的な隔離政策に終止符が打たれた。資料館は長く続いた偏見と差別や治療や療養、療養所生活の歴史を振り返るとともに、この病の正しい知識の普及と人権回復のための広報・啓発活動をはじめ、さまざまな事業を展開している。2007年4月に国立の施設としてリニューアルオープンした。国立療養所多磨全生園(ぜんしょうえん)の緑豊かな敷地内にあり、国立13カ所、私立1カ所ある全国のハンセン病療養所の情報を集約し発信するナショナルセンターの役割を果たすとともに、学びの場、住民との交流の場にもなっている。

 1987(昭和62)年6月6日深夜、東村山市青葉町の特別養護老人ホーム「松寿園」から出火、3階建ての施設に収容されていたお年寄り74人のうち17人が死亡、25人が負傷した。老人ホームの火災としては戦後2番目に多くの犠牲者を出す惨事だった。老人福祉施設の安全管理に大きな教訓となるとともに、医療を含めた福祉の在り方に論議を呼ぶきっかけとなった。

 1973(昭和48)年4月1日、JR武蔵野線が府中本町駅(東京都府中市)―新松戸駅(千葉県松戸市)間で運行開始された。東京・多摩地域と埼玉県へ南北に貫く鉄道はそれまでに無く、以前からの夢が実現した形だった。しかし当初は貨物輸送が主で、北多摩沿線住民からすれば西武鉄道との接続が不便な上、旅客用電車の本数も少なく恩恵は今一つだった。その後、首都圏の拡大に伴って鉄道インフラとしての重要性は急速に増し、本数や駅数の増加、他線との直通運転など利用客向けのサービスも徐々に向上して、今では地域にとってなくてはならぬ生活路線となった。

 1962(昭和37)年、東村山町(現東村山市)に廃棄物処理施設「秋水園」が完成した。急速な人口増加に伴うごみ、し尿などの収集、処理という大問題に対する先進的取り組みだったが、その後も社会情勢の変化に従ってさまざまな対応と改良を迫られた。“迷惑施設”とのイメージを克服し、環境保護最前線の役割を担う縁の下の力持ちのチャレンジが続いている。

 北多摩の住民でも、東村山市に東京都内で唯一の国宝建造物があるのを知る人は少ないのではないか。西武新宿線東村山駅の西口から歩いて10分余り。家並みを抜けると正福寺が現れる。禅宗の古刹で臨済宗建長寺派の寺だ。境内に建つ地蔵堂は戦前から国宝だったが、戦後1952年に文化財保護法の国宝に再指定された。今も地元の誇りとして手厚く保護されるとともに、親しまれ、地域の絆としての役割を果たしている。

 東日本大震災から9年たった3月11日夕、西東京市、東村山市、清瀬市の市民団体がそれぞれ西武沿線の最寄り駅前で追悼キャンドルの催しを開いた。2015年から6回目のイベント。多くの市民が火を灯し、手を合わせた。(写真:ひたすら祈る。田無駅北口、午後5時55分)

協定を結んだ3市の市長

 住民情報システムを共同利用してコスト削減などを図ろうと、小平市、東村山市、東久留米市の隣接する3市が12月6日、東久留米市役所でシステムの共同利用協定を締結した。住民記録、印鑑登録、住民税、固定資産税、国民年金など8業務を対象に標準化を図り、2割のコスト削減を目途に2022年度の稼働を目指す。

 アニメ映画「 となりのトトロ」のモデルになった八国山の麓、東村山市の北山公園で今月2日から「菖蒲祭り」が開かれている。約8000株、10万本の花菖蒲が約6400㎡の公園に広がり、青紫や白い花弁を開いている。菖蒲祭りは6月17日まで。(写真は、花菖蒲には雨が似合う)