1948(昭和23)年5月、東京都立小平霊園が開園した。小平霊園は8つの都立霊園(青山、雑司ケ谷、谷中、染井、多磨、八柱、小平、八王子)のうち7番目、戦後初めてできた比較的新しい墓所だった。宗旨宗派を問わず、さまざまな形態のお墓がそろった公園型の霊園である。
1年前に「小平霊園・著名人の墓巡り」と題して上下2回続きの記事を掲載した。記事の結びに「心残りが一つある。小平霊園に眠るという俳優でコメディアンの植木等(1926〜2007年)の墓が見つけられなかったことだ。他日を期すことにしよう」と書いた。すると読者から墓の場所を伝える情報提供があった。植木等の命日の3月27日、桜が満開の小平霊園に出かけた。(写真は、桜が満開の小平霊園)
墓石が映し出す時代と社会
小平霊園の歴史には時代と社会が映し出されている。 東京の人口膨張に伴い多摩霊園、八柱霊園に次いで郊外に位置する第3の公園墓地として戦後に開園した。1961年、墓石を画一化した「芝生墓地」を都立霊園で初開設した理由を「墓地形態においても戦後の民主化に通ずる公平の原則、個人間の格差是正を実現する」などとした(小平霊園管理事務所『開園50周年を迎えて』)。
子どもに歌や物語を送った文化人
今年のお彼岸は3月17日から23日まで。この時期、東京都小平霊園には1日数万人の墓参者が訪れるというが、今年は新型コロナウイルスの影響でどうなるか。イベントや行事が次々に中止となり、各種施設も閉館・休業が続く日々。自宅で鬱々としていても仕方がない。自然豊かな霊園内は散歩や花見のスポットとして親しまれ、多くの文化人や政治家が眠っていることでも知られる。早春のうららかな午後、気分転換に著名人のお墓を訪ねて霊園を散策してみた。