春である。例年より2週間くらい前倒しで花が咲き始めた感じがある。人間社会で凄惨な殺し合い=戦争が繰り広げられようと、季節はめぐり、花は咲く。こういう自然詠ははるか昔からあるが、これは日本独特のものだろうか。今回は、前回に続いて「米軍基地」から始まり、図らずも戦後「日本」の立ち位置を考えることになった。

杉山尚次(編集者)

 前回に続き、国木田独歩の「武蔵野の発見」に関する議論をみていきたい。そうすることによって、近隣の見え方が変わってくるのではないか、そのヒントがあるのでないか、という期待をこめて考えたいと思う。今回、ちょっと理屈っぽいです。(写真は、冬枯れの武蔵野 西東京市の旧東大農場にて)