想像上の世界旅行へ by  山川 恒平

 

 読書嫌いの少年だった。作文も好きなはずがない。その二つを足し算すると、答えは読書感想文といったところだろうか。夏休みに出されるこの宿題が大嫌いだった。1960~70年代の田舎の少年としては、ごく普通ではないだろうか。そんな私が、小学生のころから手元に置いているのが地図帳である。理由やきっかけは思いつかない。学校の教科書とは縁が薄かったが、社会科の教材だった地図帳は私にとって、鉄道少年の時刻表のようなものだったのだろう。