◎勤続20年でも見えない壁 配慮の裏側に何が
 長瀬千雅(ライター/編集者)

 本書の主人公、三戸学さんは「車いすの先生」だ。生まれつきの脳性まひで四肢に不自由がある。2000年に秋田県の教員採用試験に合格。中学校で数学を教える。受け持ったクラスの成績は悪くない。卓球部の監督として女子団体チームを地区優勝へ導いたこともある。「(障害があるのに)すごいですね」「がんばっていますね」と言われる。なのに22年間、どれほど希望しても担任にはなれない。毎年毎年、期待してはがっかりするの繰り返し。それでも諦めない三戸さんの行動は、わたしたちに問いを差し出す。その問いが、本書のタイトルになっている。