会見する日本体操協会の山本宜史専務理事(左)と遠藤幸一常務理事(右)

 日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長と塚原光男副会長からパワーハラスメントを受けたと、宮川紗江選手(西東京市出身)が告発した問題で、協会から委任された第三者委員会(岩井重一委員長)の調査報告書の内容が12月10日、体操協会の記者会見で明らかにされた。報告書は「悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない」としてパワハラ行為を認めなかった。当日の会場で配布されたのは「説明用概要版」という1枚の資料だけ。協会がその日ホームページに掲載した調査報告書の「要約版」(全43ページ)をあらためて紹介し、報告書の立場や前提、構成、分析、提言などを読み解きたい。

 日本体操協会(二木英徳会長)は9月10日、臨時理事会を開き、パワハラ問題を提起された塚原光男副会長、塚原千恵子常務理事・女子強化本部長の役職を一時停止すると決定、発表した。塚原夫妻の役職停止期間は、パワハラ問題を調査する第三者委員会の報告が提出され、理事会で対応を決めるまで、としている。

速見氏の謝罪文

 体操の宮川紗江選手(18)=西東京市出身=を指導してきた速見佑斗氏(34)は8月31日、「日本体操協会の懲戒処分を受け入れ、地位保全仮処分の申し立てを取り下げる」との文書を発表し、協会宛の「謝罪文」も明らかにした。

 日本体操協会(二木栄徳会長)は30日、宮川紗江選手が塚原光男副会長と塚原千恵子強化本部長のパワハラ問題を提起したことを受けて緊急の対策会議を開き、「第三者委員会を設置し、迅速な調査結果を求める」と決定した。「10月に世界選手権大会を控えて参加選手に配慮し、早期の結果を報告できるようにする」としている。

「 速見コーチの処分は重すぎる」 と訴える宮川選手。 左隣は山口政貴弁護士

 西東京市出身で体操女子の宮川紗江選手(18)が8月29日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で記者会見を開いた。指導していた速見佑斗コーチ(34)が宮川選手に暴力を振るったとして、日本体操協会が無期限の登録抹消処分にしたのは「余りにも重すぎる」と処分の軽減を求めた。そのうえで協会役員の言動を挙げ、処分絡みだけでなく選手強化をめぐる具体例も列挙して「パワーハラスメントを受けた」と訴えた。日本体操協会は同夜開いた記者会見で「正式の申し出があれば調査する」と対応を約束した。