◎勤続20年でも見えない壁 配慮の裏側に何が
 長瀬千雅(ライター/編集者)

 本書の主人公、三戸学さんは「車いすの先生」だ。生まれつきの脳性まひで四肢に不自由がある。2000年に秋田県の教員採用試験に合格。中学校で数学を教える。受け持ったクラスの成績は悪くない。卓球部の監督として女子団体チームを地区優勝へ導いたこともある。「(障害があるのに)すごいですね」「がんばっていますね」と言われる。なのに22年間、どれほど希望しても担任にはなれない。毎年毎年、期待してはがっかりするの繰り返し。それでも諦めない三戸さんの行動は、わたしたちに問いを差し出す。その問いが、本書のタイトルになっている。

【書評】

◎記者が書き継いだ「生きる意志」
 片岡義博

 がんで余命を宣告された記者が、生と死の境を見つめた文化人たちの言葉を通して、いのちについて考える記事を新聞に連載した。本書は58歳で他界した記者の最後の仕事となった連載コラムを書籍化したものだ。

【書評】

「法律」と「正義」の狭間  野洲修(西東京市在住)

 弁護士は何のために存在するのか――。読み進めながら、モヤモヤした気持ちは大きくなるばかりだった。加害者の罪を知りながら、刑を軽くするべく後押しする。黙秘権を始め、法知識を総動員して加害者の罪をなかったことにし、犯罪被害者を苦しめる。そんな、「正義の味方」とは正反対の弁護士がいるらしいと知り、憤りがおさまらない。

 

カウンター横に展示されたポップ作品(ひばりが丘図書館)

 西東京市図書館が開いた書評講座「POPをつくろう~あなたの心を動かす一冊」から生まれた作品がいま、市内図書館を巡回している。タイトルは「POPと本-気になる一冊がきっと見つかる」。7月はひばりが丘図書館に17作品を展示、8月から柳沢図書館へ。その後順次各館にお目見えする。

会議は踊る01

【書評】「どうすべきか」「どう考えるべきか」が浮かび上がる  師岡武男(評論家)

 東久留米、小平、狛江という近隣の自治体の最近の出来事で、人々の関心を引いたはずのものを取り上げ、「何が」「なぜ」起こったかを書いた本。東久留米は前馬場市長とイオン誘致問題、小平は都道建設計画と住民投票、狛江は共産党市長の長期政権などについて「何が、なぜ」を中心に、自治体運営の問題点を追求している。