被災の地で何度も救われた by 近藤菜穂子

 東日本大震災の発生からわずか2週間後の深夜、私は池袋駅前でこれまでに見たことのない光景に出合った。10数台もの高速バスが連なり、そのすべてに多くの人々が乗り込もうとしている。それらは岩手県に向かう臨時バスの隊列だった。被災した故郷へ向かう人が多いのだろうか。皆、一様に表情の色を失っているように見えた。通常の高速バスとは違い、臨時便は座席の間隔もなく、シートを倒すこともできず、多くの乗客が文字通りバスに詰め込まれていた。私はその中の1台に乗り込み、鞄を抱え小さく座っていた。

 新型コロナウイルスの接触確認アプリから、ある朝突然1通の通知が届く。「(感染者との)接触が確認されました」。受け取った人は、驚き、恐れ、不安に駆られる。FM西東京の人気パーソナリティーとして活躍したフリーアナウンサー、近藤菜穂子さんの身に、そんな驚きの出来事が起きた。そのあと、どうなったのか。本人の体験を報告してもらった。(編集部)(写真は、近藤菜穂子さん。提供:FM西東京)