臨時休業、時短、通常通りも 地元商店会は影響大、会費免除も
緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスの影響が一段と広がってきた。西東京市の商店街は人通りが少なくなり、時短営業や臨時休業のお知らせを張り出す店舗が目立っている。地元の商店会のなかには会場が確保できずに総会延期、地域イベントの中止などを余儀なくされ、厳しい経営状態から会費納付を免除するケースも出ている。しかし夜の灯が消えたわけではない。営業している店に、いる人はいる。
アスタ専門店街は午後6時まで
買い物客の多い田無駅北口の商業施設「アスタ」は9日から「当面の間」、地下1階から3階までの専門店街の営業時間を短縮する。午前10時に開店し、終業は午後6時となる。地下の野菜、食品売り場をめざす人が多いだけに要注意。3階のレストラン街は午前11時から夜10時までだが、店によって違いがある。LIVIN田無店は通常通り、午前10時から夜9時まで営業する。
ひばりヶ丘駅南口の「西友ひばりヶ丘店」は通常通りの営業。1階も地下の売り場も惣菜や生鮮食品を目当ての買い物客は多い。2階の家電、3階の洋服、生活雑貨、4階の衣料、子供服店などはともに午後7時閉店。5階の衣服、靴店などは午後6時までとなった。
同駅西側のひばりが丘PARCO地下にあるスーパー「ブルーミングブルーミー」やドラッグストアは午後8時まで営業しているが、そのほか1階から5階まで、歯科医院を除いて休業となった。
臨時休業が目に付くけれど
街場はどうか。ひばりヶ丘駅前のパチンコ店「やすだ」は8日から店を閉じている。店舗の上部に設置した大型モニターに「臨時休業」の赤字がくっきり。北口のパチンコ店「prego」は通常通りの営業だった。「ウイルス対策実施店」ののぼりが入口を飾り、台に向かう人の姿がガラス越しに目に入った。
飲食店を中心に臨時休業の張り紙が目立つ。「お持ち帰りできます」「テイクアウト実施」などのお知らせも多い。開店中の居酒屋前で「半値」と大書した看板を見かけた。営業中の居酒屋をのぞくと、お客が数組、差し向かいで飲食中。カウンターでビールを飲む人もいる。いつもより少なくても、お客はいるところには、いる。
駅周辺のコンビニ「セブンイレブン」と「ファミリーマート」の店員に聞くといずれも「通常通りの営業です」「24時間開いています」。
経営厳しく、夏祭りも危ぶむ
繁華街の実態は、地元の商店会がよく分かる。東伏見駅周辺の108店が加盟する東伏見商栄会の塙明人さんは「このあたりのお店も困っています」と言う。「ともかく人が来ません」。客足が落ちて普段の3分の1ほどだという。
会の活動も滞りがち。「これまで会長を務めてきて、今月23日の総会で新しい会長に引き継ぐことになっていました。ところが、コロナの影響で総会は延期。予定していた会場が使えなくなり、そのあとも見つかりません」。3月に予定していた青年部主催の子どもスケート教室や商栄会の旅行も中止した。
夏の盆踊り大会も気になる。昨年は2日間で約8000人が集まる人気イベント。「5月までコロナウイルス感染が収拾できないと難しくなります。準備に2カ月以上かかりますから」。
保谷駅近辺の商店が集まる東町商栄会会長の大河内一紀さんも「特に飲食関係は影響が大きい」と言う。風評被害で閉店に追い込まれた店もある。「状況が厳しいので、会員の会費3ヵ月分を免除しました」と話した。
大河内さんは市内外で薬局・ドラッグストアを手広く営むグループのトップ。「こんな状況なので、私のところはむしろ忙しくなりましたが、問い合わせのあるアルコール消毒液やマスクはまったく入りません。大病院、ドクター優先なのだと思います」と話していた。
ひばりが丘北口商店街代表の岩井計佳さんは切実だ。「お客さんが10分の1に減りました。高い家賃を払い、従業員を抱えては従来通りやっていけません」。先週末は閉店。今週は7日から9日まで臨時休業にした。「会員でも休んだり早めに閉店するところもある」。5月の総会も延期が決まった。「もう、体力勝負ですね。個人経営なら何とか続けられても、従業員がいたら大変です。でも必ず復活します」と力を込めた。
西東京商工会事務局長の白井清美さんは「毎日のように問い合わせや相談があります」と言う。収入が減った、融資制度を知りたいなどが多い。「借金したくても、返す当てがないという方もいらっしゃる」。飲食店、生花店、美容・理容店、学習塾などからも相談があり、厳しい中小企業の現状が伝わってくる。
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新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言が4月7日に発令された。翌日の都心は人出が少なくなった、との映像がテレビなどで流れた。対比する映像の撮影時間など条件は同じか。昼と夜はどうか。通勤電車の状況はどうなのか。都心は人影が少なくても、居住地の昼と夜はどうか。感染減少の目安とされる8割減は達成されたのか。
感染防止に役立つ手立て、政策・施策、実効ある財政措置は十分か。悠長な判断猶予の対応を、新型コロナウイルスはじっと待ってくれるのだろうか。期待と焦燥の毎日はまだ続くのだろうか-。
(北嶋孝)(写真は筆者撮影)
【関連情報】
・西東京商工会(HP)