「特別定額支給金を受け取りました」 オンライン申請、紆余曲折の顛末
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「通帳を確認したところ『西東京市特別定額支給金』が記帳されていました」－。こんなメールを5月23日午後、読者から受け取った。折り返しインタビューを申し入れ、翌24日、電話で貴重な体験を聞くことができた。パスワードの再登録から入金の確認まで、オンライン申請の紆余曲折をたどってみよう。
パスワードを再登録
読者のAさん（69）は西原町在住。特別定額給付金のオンライン申請が9日から始まることを知ったが、マイナンバーカードのパスワードが判然としない。そこで前日の8日（金）に市役所（田無庁舎）に出掛けた。ところが受け付けは込み合っていて、2時間ほど待ったが、まだ27人待ち。順番が来るまで相当時間かかりそうなので諦め、翌9日（土）に出直した。「受け付け開始の1時間前に行ったら一番乗りでした」。それでも午後2時の開始まで約20人が並んでいたという。
事前に申請方法を調べたら、コンピューターだとICカードリーダーが必要になる。そこでスマートフォンを使うことにした。手持ちのスマホ（Android）が古くなったので、「これを機に、新しい機種に買い換えました」。10万円支給を見込んだ前倒し購入になった。
新しいスマホが使えない
準備万端、の積もりだった。ところが新しいスマホは「機種番号が合わなくて、使えませんでした」。市のホームページには「マイナンバーカード読取対応のスマートフォン」とある。ところが、どんな機種が対応するかは、総務省の特別サイトに行って長いリストを見て初めて分かる。途方に暮れかけたが、「妻のスマホ（iPhone）でチャレンジできました」。電話口の向こうから安堵の響きが伝わってきた。
暗証番号とカード読み取り対応のスマホが用意できた。しかしオンライン申請はそう簡単に進まない。山を越えると、また次の山が待ち構えていた。
山場はカード読み取り
スマホに「マイナポータルAP」をインストール。「ぴったりサービス」から地域を選び、特別定額給付金にチェックを付けて探すと、氏名や生年月日の入力画面が表示される。その後、対応機種の動作環境をチェックし、メールアドレスや電話番号、振込先の口座番号などを次々に入力する。
ここまではなんとかクリアできた。Aさんが苦戦したのは、署名用電子証明書の暗証番号（パスワード）を入力し、マイナンバーカードを読み取る最後の場面だった。
画面の指示は「スマートフォンにマイナンバーカードをあてて読み取る」とある。QRコードを読み取る要領でカメラ機能を使ったが、うまく行かない。何度挑戦しても読み取ってくれないのだ。ネットを参照し、YouTubeの解説動画などを見てやっと分かった。「マイナンバーカードのICチップを読み取るんです。だからカメラは使いません。カードをスマホにこする、重ね合わせるようにしたらうまく行きました。パソコンのカードリーダーのように読み取らせればいいんです」
この場面だけで1時間以上かかった。「ここで詰まってしまって、諦める人がいるかもしれませんね」とAさんは危惧していた。
送金連絡なし、確認は自分で
「送金の連絡はありませんでした。22日に口座を調べて初めて入金を確認しました」と言う。ネット通販は注文品の発送、宅配時期をこまめにメールで教えてくれる。そういうサービスではなかった。支給金を確認した人だけが分かる体験だった。
10日に申請して、22日には確かに入金した。「10万円ですからね。正直、うれしいです」。事前出費で「新しいスマホ」を購入。東京都の『守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金』にも寄付した。「あれこれで、半分以上使ってしまいました。あとはまだ考えていませんが、本当に困っている人は生活の足しになるでしょうし、安心ですよね。国民全員がもらう大きなお金だから、景気を左右してくると思いますよ」
折角の支給金。預金しておくだけではもったいない。使って初めて地域に活気が出る。Aさんのメッセージがまっすぐ耳に届いた。
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市のホームページに掲載された説明によると、特別定額給付金のオンライン申請は5月9日から始まり、郵送申請は5月26日以降に申請書を発送し、6月1日の受付開始を予定。申請受理後、10日間程度を目途に指定口座へ振り込む。しかし最新のお知らせは赤字で「申請の集中により、入金まで2週間程度のお時間をいただいております」となっていた。
（北嶋孝）
【関連情報】
・特別定額給付金のオンライン申請受付開始（5月9日から）（西東京市Web）
・特別定額給付金について（5月20日更新）（西東京市Web）
・特別定額給付金 オンラインで申請する（総務省）
